オリ・ドラ7の小木田が感じた“エースの責任” 「珍しく緊張」の試合で全国初勝利

先発したTDK・小木田敦也【写真:川村虎大】
先発したTDK・小木田敦也【写真:川村虎大】

2回に一挙4点を失うも、その後は0点に抑えた小木田

 5年間着用したユニホームに、別れを告げるが故の重圧か。10月に行われたプロ野球ドラフト会議でオリックスから7位指名を受けたTDK・小木田敦也投手が3日、第92回都市対抗野球大会で西部ガスとの1回戦に先発登板。5回4失点ながら尻上がりの、勝利を呼び込む粘投を見せた。5-4で逆転勝利した試合後には「珍しく緊張した」と、いつもとは違う感覚だったことを明かした。

「ドラフトで名前が呼ばれて、来年からこのチームにいないということや、来年からプロだという気持ちがあった。いろいろなことを考え過ぎました」

 決して調子は悪くなかったが、2回に捕まった。1点リードの1死一、三塁から西部ガスの8番・金澤達弘捕手に中前へ同点打を浴びた。続く9番・八木大輝内野手を三振に抑えたものの、2死一、三塁で1番・犬塚慶外野手(JR九州から補強)に甘く入った直球を右中間スタンドまで運ばれた。この回一挙4失点。「どうなるんだろうと思いました」と頭が真っ白になった。

 ただ、ビッグイニングを与えてしまったことで「逆に吹っ切ることができた」とも話す。安打は打たれながらも、3回から5回まで無失点で切り抜けた。味方も粘投に応え、6回に同点、7回に1点を勝ち越した。わずかなリードを、小木田の後を受けた田中太一、鈴木大貴の両投手が守り抜いた。

 秋田・角館高3年夏には、能代松陽高との県大会準決勝で無安打無得点試合を達成。高卒で地元の社会人野球チームTDK入りした剛腕。毎年「プロ注目」と言われ続けてきたが、5年目の今年、ついにオリックスから7位指名を受けた。

 在籍5年間で、昨年が都市対抗本戦への初出場、そして今回、全国大会初勝利を挙げた。エースとして「全国で1つも勝っていなかった」と責任を感じていた。「今回は考え過ぎたので、次は何も考えずにやりたいです」。チームへの恩返しのためにも、1日でも長くTDKのユニホームを着続けるつもりだ。

(川村虎大 / Kodai Kawamura)

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