覚悟なければ「1、2年で終わる」 楽天入り西川へ…恩師・高嶋氏の厳しい言葉に滲む愛

3打数1安打で終わるのと4打数1安打で終わる違い

 西川は今年でプロ生活12年目に突入する。これまでの活躍を認めつつも、伝えたいことがあるという。

「ちょっと気になるのはチャラチャラしているところですね。あれがなければもっといい成績を出せます。ゲームに出ていますよね。うちの家内がよく見ているんですけど『髪の毛が黒くなったら3割打てる』と。そうしたら打った。チャラチャラなくなったら全日本(侍ジャパン)の1番を打てると」。もちろん、冗談交じりだが、「あれはイカン」と念を押すあたり恩師として切実に“イメチェン”を望んでいるのかもしれない。

 昨季の成績は打率.233ながらも24盗塁で盗塁王のタイトルは獲得した。30歳という節目を迎える教え子に「打率はもう少しあげないといけない」。打率をあげるために必要なのは決して安打を放つことだけではない。

「4打数1安打と3打数1安打……。1個の違いだけど、3打数1安打だったら(1)億をもらえる。4打数1安打なら5000万。四球を1個選べばいいんです。難しいですというけれど、それで飯を食っているんだろう、と。ヒット200本は難しいかもしれないけど、2ストライク3ボールで粘って四球。その積み重ねが大きいんですよ」

 その積み重ねが、トータルの成績で多く変わってくる。これが高嶋流のプロで生き残る極意なのかもしれない。今後生き残っていくために必要なのは「3割」だという。

「自分のいいところを出さないと。新しいチームに行ったら、追い詰められてやらないと1、2年で終わります。周りがいい選手と思ってくれないと生き残れませんからね」。楽天の外野手には、打点王に輝いた島内宏明やゴールデングラブ賞を獲得した辰己涼介、他にも岡島豪郎やオコエ瑠偉など陣容は豊富だ。

 その中で西川がどのような持ち味を発揮するのか。「まだまだいけますから。そういう場所を与えてもらわないといけないけど、自分で掴まないといけない。足はね、まだまだいけますよ。左翼で1番で使ってもらえればそこそこやれると思います」。心機一転、仙台の地で躍動する西川の姿を見に行くことを、旅好きの恩師は楽しみにしている。

(市川いずみ / Izumi Ichikawa)

市川いずみ(いちかわ・いずみ) 京都府出身のフリーアナウンサー、関西大学卒。山口朝日放送アナウンサー時代には高校野球の実況も担当し、最優秀新人賞を受賞。学生時代はソフトボールで全国大会出場の経歴を持つ。

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