手に入れた5年前より動ける体 所属先未定の田澤純一が今季への準備を続ける理由

スポーツ動作解析の第一人者の川村卓准教授(左)と田澤純一【写真:本人提供】
スポーツ動作解析の第一人者の川村卓准教授(左)と田澤純一【写真:本人提供】

変わらぬ判断基準「どっちが良い悪いではなく、どっちが自分に合っているか」

 レギュラーシーズンが120試合のCPBLで、その半数に近い58試合に登板。味全は50勝67敗3分けだったが、守護神・田澤はリーグ2位となる30セーブを挙げ、球団記録を塗り替えた。若手選手が主体というチーム事情もあり、守備の拙さが手伝って防御率こそ3点台だったが、ストレートは球速150キロ超えが常だった。

 35歳ともなればベテランだ。既に引退した選手も少なくない。だが今、田澤が自分に感じるのは「もっと良くなる」という可能性。「これ以上やっても無理だと思ったらやりませんが、少しずつ良くなっている感じがある。だからこそ、続けていきたいと思うんです」という言葉は決して強がりには聞こえない。

 米国ではメジャーとマイナーを経験し、2020年は日本の独立リーグ、2021年は台湾で投げた。国が変われば言葉や文化が変わるし、野球の性質も変わる。「いろいろ経験できているのは人生においてプラス」と話す右腕は、2009年に初渡米した当時より格段に対応力を上げたと思うが、本人は「いや、鈍感力だと思います」と笑う。

「国や地域によって当たり前が違うから、自分の物差しで測ることはできません。例えば、日本人には5分前、10分前行動が当たり前でも、台湾では時間ちょうどに来れば上出来。日本では電車が1分でも遅れたらソワソワするけど、アメリカでは時間通りに来た試しがない(笑)。だから、鈍感力が大事。考え過ぎると良くないこともあるなと思います」

 生まれ育った日本を離れ、初めて分かった日本の良さがある。同時に、米国や台湾に渡り、初めて分かった価値観もある。「どっちが良い悪いではなく、どっちが自分に合っているか。日本は日本で良いところがあるし、海外は海外で良いところがある。ただ、行かなければ分からないことはたくさんあると思います」とは、経験した者にしか語れない言葉だろう。

「しっかり準備しながらオファーを待ちたい」

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