「日本一になれると思うんです」 日本ハム変化の象徴“執念先輩”が声を出すワケ

慣れない打順と守備位置で生まれる「集中力」と「一体感」

 型破りな試みは続く。シートノックから選手は続々と“未経験”の守備位置についた。快足の五十幡亮汰外野手は遊撃、万波中正外野手は三塁、野村佑希内野手は左翼。助っ人の王柏融外野手にも一塁守備を命じた。「いろんなポジションを守って、相手の気持ちが分かればいい」と意図を説明されても、ここまで未成熟なチームでは大掛かりなコンバートまで考えられる。シートノックのたびに、選手の守備位置を確認する毎日だった。

 ついには打順を、選手にも直前まで伝えないという奇手に出た。2月8日に行われた阪神との練習試合、場内アナウンスでひとり読み上げられるごとに、選手たちからどよめきが起こった。「3番・三塁」に万波、「4番・遊撃」に五十幡が並んだ。これまでの見方なら、右中間が似合う2人だ。

 それでも、形になるのだ。収まりのいい打順や守備位置を離れても、選手は一途に結果を出そうとする。慣れでこなせない分、集中力を高めているようにも見えた。6-2で勝利、しかも無失策という最高の結果を収めて、試合後の新庄監督は言った。

「1番バッターの杉谷君が初球を打って、練習試合にもかかわらずガッツポーズしていた。気持ちが出ていて、嬉しかったよね。俺、いらないんじゃない? この気持ちがあれば、誰が(監督に)なってもいい。変わってきていますよ」

 なるほどと思った。様々な手を繰り出して求めているのは、戦う姿勢とチームの一体感に行き着くのではないか。その証明となるのがベンチから出る「声」だ。ビッグボスは、笑いながらこう続けた。

「ベンチの声も良かったね。トークのボケが“ツボる”のよ。『そこ? おもろいやん』って。時代なのかな。くすくす笑っちゃって」

“執念先輩”今川優馬の決意「日本一になれると思うんです」

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