「日本一になれると思うんです」 日本ハム変化の象徴“執念先輩”が声を出すワケ

日本ハム・今川優馬【写真:荒川祐史】
日本ハム・今川優馬【写真:荒川祐史】

“執念先輩”今川優馬の決意「日本一になれると思うんです」

 ベンチにどっかり腰を据える選手がおらず、みんな前のめりになって試合を見つめていた。自分もいつどこで、どんな役割で試合に出るかわからないとなれば、グラウンドを真剣に見つめる。自然と試合に入り込んで声も出る。その中心にいるのは2年目の今川優馬外野手だ。あだ名は「執念先輩」。いつも「執念!」と声を出しているからだ。

「野球を楽しめ」という新庄イズムの“権化”とさえ言えるかもしれない。この今川はいつもニコニコ、とにかく楽しそうにプレーするのだ。そしてベンチにいるのかもすぐ分かる。どれだけ追い込まれようと、あきらめず声を出し続けるからだ。思い返せば北海道移転以降の日本ハムは「最後まであきらめずにプレーする」ことを掲げ、支持されてきた。日常だったはずのこのスタンスが、歳月とともに薄れてはいなかっただろうか。先の阪神戦の後、今川に“声”を出す意味を聞いた。

2年目を迎えた今キャンプで精力的にアピールをしている【写真:荒川祐史】
2年目を迎えた今キャンプで精力的にアピールをしている【写真:荒川祐史】

「たかが練習試合かもしれませんが、僕はどんな試合でも勝ちたいと思ってやっています。このチームで日本一を取るために、勝ち癖をつけていきたいんです。勝ちに行く姿勢を植え付けたいと思って声を出していますし、先輩が見せなければいけないと思っています。だから今日勝てたのは凄く自信になりました。『俺ら、行けるんじゃないか』という小さな自信が積み重なることで、日本一になれると思うんです」

 新庄監督は昨秋の就任会見で「優勝なんて目指しません」と言った。それでも、勝ちたくない選手などいるわけがないのだ。今川は続ける。

「声を出せば絶対勝てるといえば、そうじゃないですけど、明るい雰囲気でやったほうが絶対にいい。僕は『1試合も負けられない』社会人野球を経験して、どうすればいいか考えました。勝つには執念や、強い思いが必要なんです。僕も1年間、たかが2軍の試合かもしれませんが毎日勝つという気持ちでやってきましたし、絶対に必要なことだと思っています」。

新庄監督が作り上げた「誰一人座っていない」ベンチ

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