“緊急登板”の立大右腕が神宮初白星 先発の故障離脱をカバー「まさかこんな形で」

リーグ戦初勝利を挙げた立大・島田直哉【写真:伊藤賢汰】
リーグ戦初勝利を挙げた立大・島田直哉【写真:伊藤賢汰】

立大・島田直哉は3回から登板、5回1失点で法大戦2連勝に貢献

 東京六大学の春季リーグ戦は17日、明治神宮野球場で2試合が行われた。第1試合は立大が7-4で法大に勝ち、2連勝で勝ち点を手にした。両チーム合わせて15四死球の試合を引き締めたのは3回に“緊急救援”した立大・島田直哉投手(4年)。5イニングを4安打1失点自責0と好投し、リーグ戦初勝利を挙げた。

 立大は初回、押し出し四球や6番・吉岡広貴外野手(4年)の左前適時打などで一挙4点を先制。しかしその裏、先発の池田陽佑投手(3年)が3安打と2つの四球で2点を献上すると、2回にも1点を許した。立大は3回に3点を追加するも、池田が走者に出た際に腰の違和感を訴えて交代。「5回くらいに(肩を)作り出そうと思っていた」という島田が3回裏から急遽、登板することになった。

 龍谷大平安高時代はエース番号を争う立場だった。「2番手や3番手として登板することが多く、後ろ(のイニング)を絶対抑えてやると思っていた」という当時と同じ気持ちで、この日もマウンドへ向かった。身長185センチの右腕は登板当初は制球に苦しみながらも、回を重ねるごとに安定感を増していった。

 溝口智成監督も「コントロールが安定していた」と話すように、3回から7回までを1失点投球(自責0)。荒れた試合の流れを立大に引き寄せる投球で勝利を呼び込んだ。右腕は「これまでは直球、直球という投球だった。今は真っすぐがダメでも変化球で修正できるようになった」と自身の成長を噛み締めながらも、島田の口から溢れたのは仲間への感謝の気持ちだった。

 急な登板になったが「打者も粘って時間を作ってくれたので、ベンチで気持ちも身体も作れました。(守備でも)野手に助けられて投げ切ることができました」とみんなで掴んだ勝利に満面笑みを浮かべた。

 昨年春に神宮デビュー。昨秋の6試合登板を経て、今季2度目の登板でリーグ戦初白星を手にした。「まさかこんな形でとは思っていなかった。びっくりと嬉しい気持ちです」。指揮官も「昨秋からは考えられない活躍」と目を細めた。今年の立大は、野手では昨年のレギュラーがほとんど残っており、投手陣もドラフト候補の荘司康誠投手(4年)や宮海土投手(4年)ら経験豊富な顔ぶれがそろう。2017年春以来の頂点へ、立大に大きな一枚が加わった。

(市川いずみ / Izumi Ichikawa)

市川いずみ(いちかわ・いずみ) 京都府出身のフリーアナウンサー、関西大学卒。山口朝日放送アナウンサー時代には高校野球の実況も担当し、最優秀新人賞を受賞。学生時代はソフトボールで全国大会出場の経歴を持つ。

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