元楽天の首位打者が説く“素振り”の重要性 子どもが飽きずに続けられる方法とは

木製バットに対応するには“必須”の「インサイドアウト」

 唯一とも言えるデメリットは、筋力のない子どもがボールの内側にバットを当てようとすると、ヘッドが下がってしまうことです。ここで素振りの話にもつながるのですが、バットを思い通りに操作できるくらい振り込まないと、ヘッドを下げずにボールの内側を叩くイメージでスイングできません。

 一度、二度できたくらいでは身についたとは言えません。私はプロになってからも急に感覚が狂ったり、寝て起きたらできなくなったりしていました。意識しすぎると、ヘッドが下がってしまう時もありました。常に練習で微調整が必要です。巨人のウィーラーも楽天にいた頃「バットを内側から出そうとしてヘッドが下がってしまう」と口にしていました。いい打者になるためには、避けて通れないと思います。最初は難しくても、必要な技術と頭に入れていくだけでも違いますし、できるだけ早い段階で挑戦してみるのが良いのではないでしょうか。

 実は、「インサイドアウト」という言葉はプロに入ってから知ったのですが、偶然にも高校時代にその動きを意識して素振りをしていました。できるだけ素早く強くスイングする方法を考えてたどり着いたのが、バットを内側から出す打ち方でした。木製バットの対応に苦労しなかったのは、この時の素振りが生きたと考えています。

 どんな競技にも共通していますが、成功するための方法は1つではありません。打撃に関しても、誰でも必ず結果を出せる打ち方はないと思います。私の経験や考え方が、今より野球が上手くなり、プロへ近づくヒントになればうれしいです。

◇土谷鉄平(つちや・てっぺい) 1982年12月27日生まれ、大分県大分市出身。津久見高校から2000年ドラフト5位で中日に入団。2006年に楽天へ移籍し、2009年に打率.327で首位打者に輝いた。オリックスへの移籍を経て2015年限りで現役引退。引退後は楽天アカデミーコーチ、2軍外野守備・走塁コーチ、1軍打撃コーチを務めた。現在は球団を離れ、野球解説者として活躍の場を広げている。

(「パ・リーグ インサイト」編集部)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY