ダイエーでもあった“ハイタッチ拒否事件” 新井宏昌氏が振り返る「こんな外国人、初めて見た」

「良い打撃投手がいるチームは打撃も良くなる。打撃投手を壊してほしくない思いが強かった」

 打撃コーチとしてチームが勝つために死力を尽くしていた新井氏も、これは頭にきたようで「こんな外国人選手、初めてみましたよ」と笑いながら振り返る。自身を否定されるのは構わないが、一番に考えたのは打撃投手のことだったという。

「一番、かわいそうなのは投げる人です。良い打撃投手がいるチームは選手の打撃も良くなる。打撃投手を壊してほしくないという思いが強かった。私はどの選手に対しても“おべっか”は使わない。新しく来たコーチがなつかないので、バルデスはいい気がしなかったのかなぁ」

 結局、バルデスは2004年に打率.279、18本塁打74打点とまずまずの成績を残しながら退団。だが、14年後の2018年に新井氏は“天敵”と再会する。パドレスの特別アドバイザーとして春季キャンプ地・ピオリアを訪れた際に、オリックスの現地スカウトだったバルデスとばったり出会った。

「握手はしましたけどね(笑)。長い間、打撃コーチの仕事をしましたが、ああいう外国人は最初で最後でした」

 苦笑いを浮かべ、新井氏は頭を抱えながら、当時の昔話を披露してくれた。

○著者プロフィール
橋本健吾(はしもと・けんご)
1984年6月、兵庫県生まれ。報徳学園時代は「2番・左翼」として2002年は選抜優勝を経験。立命大では準硬式野球部に入り主将、4年時には日本代表に選出される。製薬会社を経て報知新聞社に入社しアマ野球、オリックス、阪神を担当。2018年からFull-Countに所属。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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