広島の最重要課題だった堂林翔太の一本立ち 名打撃コーチが“指導できなかった”理由
広島は「長打の打てる三塁手」の育成が至上命題だった
オリックス、ソフトバンクで打撃コーチ、2軍監督を務めた新井宏昌氏は2013年から広島の打撃コーチに就任。丸佳浩、菊池涼介、鈴木誠也ら若手を鍛え上げ、リーグ3連覇の土台作りを作ったのは記憶に新しい。本人の証言をもとに振り返っていく連載の第18回は「野村謙二郎監督がほれこんだ堂林翔太」。
新井氏が打撃コーチに就任した2013年、チームは1997年以来のAクラス入りを果たした。くすぶっていた丸の打撃フォームを修正、チーム3冠となる打率.273、14本塁打58打点をマークするなど“ヤングカープ”たちが徐々に頭角を現していた。
丸、菊池涼、田中広、鈴木。広島の次世代を担うスター選手が結果を残していったが、ファンから最も期待されていたのは堂林だ。グッズ売上は断トツで、球団内でも「長打の打てる三塁手」の育成は最重要課題だった。
野村監督から打撃指導を一任されていた新井氏も「とにかく堂林を一人前にさせないといけない、という意思を感じた。どの球団もそうですが“チームの顔”となる選手の育成は絶対に必要。少々のことは目をつぶっても起用して経験させないといけない。広島では堂林がその1人だった」と振り返る。