相手エース登場で逆に「しめた」 初戦の屈辱晴らしたJR西日本主将の一打

値千金の逆転2点二塁打を放ったJR西日本・西山統麻【写真:宮脇広久】
値千金の逆転2点二塁打を放ったJR西日本・西山統麻【写真:宮脇広久】

JR西日本の西山が8回に逆転の2点二塁打、8強進出を導いた

 都市対抗野球大会は25日、東京ドームで2回戦3試合が行われ、第3試合では4年ぶり出場のJR西日本が4-1で北海道ガスに逆転勝ちし、準々決勝進出を決めた。1点ビハインドの8回2死二、三塁で、今季から主将に就いた西山統麻内野手が値千金の逆転2点二塁打を放った。

 JR西日本打線は、北海道ガスの先発右腕・日暮を打ちあぐね、6回途中からは2番手の変則左腕・岩崎にも幻惑され、無得点のままズルズルとイニングを重ねていた。8回のチャンスで、相手ベンチが投手を岩崎から大城にスイッチした時、右打席に向かう西山は「しめた」と思ったと言う。マウンドに上がった大城は北海道ガスのエースで、1回戦の東芝戦で6回1/3無失点の快投を演じていたのだが、西山は「球の軌道を捉えづらい岩崎投手を降ろせば、いけると思っていました。大城投手のデータは頭に入っていて、初球の真っすぐ系を仕留めようと思って打席に入りました」と明かす。

 そして狙い通り、初球の高めのカットボールを一閃。打球は右翼手の頭上を超え、2人の走者を迎え入れ、試合をひっくり返したのだった。

「ここ一番で打順が回ってくれば、1回戦で何もできなかった分を取り返せるチャンスだと思っていました」と西山。チームは1回戦の四国銀行戦で劇的な延長10回サヨナラ勝ちを収めたが、西山自身は投ゴロ併殺打を含めて2打席凡退し、7回に代打を送られ早々とベンチに下っていたのだ。「これでトントンかな」と溜飲を下げた。

 西山は智弁和歌山高3年の2015年夏、「4番・捕手」として甲子園に出場しているが、今大会は専らDH。入社後は7歳上の正捕手・原田の壁が厚く、打撃を活かして出場機会を増やしたいと考え、3年前に自ら内野コンバートを申し出たと言う。最近は守備に就くとすればサードかファーストだが、実は今大会では「控え捕手が故障したので、万が一に備えて捕手の準備もしています」とも。この先も、チームの救世主となる可能性は大いにある。

 2試合続けて劇的な勝利を収め、次戦ではチーム史上初の4強入りをかけて強豪ENEOSと対戦する。西山は「簡単に勝てるとは思わないけれど、負けるとも思わない。ウチのような有名でないチームが、初戦のサヨナラ勝ちで勢いに乗ってずっと勝ち進むことって結構よくあるじゃないですか?」と笑った。JR西日本にミラクルなムードが漂い始めた。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY