VRゴーグルを着けての素振りで打撃強化 画期的トレーニング施設に“潜入”
データ測定・評価や科学的トレを1か所で行える施設が千葉・市川市に開設
プロ野球のチーム、選手などにデータ測定・解析サービスを行ってきた株式会社ネクストベースが、データの測定・評価と科学的トレーニングを1か所で行える“民間企業初”のアスリート支援施設「NEXT BASE ATHLETES LAB」を千葉県市川市に開設。プロ野球選手からアマチュア選手、小中高校生にまで対応し、他競技にも広げていく予定だという。27日のオープンを前に、24日にマスコミ発表・内覧会が開かれた。世界最高レベルの計測機器を揃え、専門のアナリストが選手個々に合わせたトレーニングを処方すると聞いて、Full-Countも“潜入”してみた。
たとえば、VR(バーチャル・リアリティ)のゴーグルを装着し、バットをスイングする機器がある。実際に体験させてもらうと、バーチャルの投手がボールを投げてくるのだが、“消える魔球”のようにボールがホームベース付近に到達する前に消えてしまう。そこまでの軌道から予測し、ストライクだと思えばバットを振り、ボールだと思えば振らない。“正解”は「○」か「×」かで表示される。
ゲーム感覚で楽しめるが、これも打撃向上を目的とした、れっきとしたトレーニング機器。同社のエグゼクティブフェローで、国学院大人間開発学部准教授の神事(じんじ)努氏は「従来は『バットに当たる瞬間までボールから目を離すな』と言う指導者がたくさんいましたが、現在、科学的にはこれが不可能であることがわかっています」と話す。
神事氏はさらに「打者はホームベースの1.7メートル投手寄りまでしか目で追えない。バットに当たる瞬間までボールを見るとすれば、眼球を1秒間に500回動かすことが必要で、人間の限界を超えてしまうのです」と説明。ボールから目を離していないつもりでも、実際には予測でバットを出している。「予測の能力が高い人たちの集団がプロなのです」と続けた。とすれば、ボールの軌道を予測する能力をトレーニングで高めれば、打撃も向上するというわけだ。
現状では、ストライクかボールか、バットを出すか出さないかの2択だが、「ストライクゾーンのどこにバットを出すかを関係づけることも可能で、現在プログラミングを行っているところです」と神事氏は明かした。