東芝エースをドラ1候補へ導いた“大谷翔平流”のヒント 入団同期のコーチが見た進化

東芝野球部でコーチを務める新垣勇人さん【写真:中戸川知世】
東芝野球部でコーチを務める新垣勇人さん【写真:中戸川知世】

指導者になって4年目、新垣コーチの引き出しとなったプロでの経験

 新垣コーチは2018年オフに日本ハムを戦力外となり、まず現役を続けたいと願って12球団合同トライアウトを受けた。その後古巣・東芝のオファーがあって指導者となり4年目だ。最初は選手目線からの“切り替え”に苦労したという。

「まだ、選手をやりたかったんでしょうね……。でも指導している選手の結果がどんどん積み重なるうちに、『もっといい結果を出してほしい』と思うようになったんです。やっぱり選手がいい結果を出してくれると、どんどんうれしくなるんですよ」

 形は違えど、考えて取り組み、結果につながればうれしいというサイクルは同じだった。そして、プロで接したコーチ哲学も今の指導に生きる。練習中、決まった場所から選手を見るよう心掛けているのは、日本ハムのコーチだった黒木知宏氏の影響だ。

「同じ場所にいると、選手の変化に気づくと言われたことがあるんです。体の調子が良くないとか、違ったことをしているとか、コーチとして選手を導くには気づきがとても大切になるので」

 指導者となって、大谷が何をしていたのか、どのような考えを持っていたのかを東芝の選手たちに伝えることがある。誰がどう見ても、現在の日本で一番優れた野球選手。共に過ごした時間が生きている。「何を、どういう考えでやっていたのか。目の前で見ていたんですよ。『来るな』と考えたこともありましたけど、今になって思えば『来てくれてありがとう』ですよ。本当に大きな財産です」

 東芝野球部には、将来が楽しみな素材がまだまだたくさんいる。大谷イズムのかけらをヒントに成長する投手が、これからも出てくるに違いない。

(羽鳥慶太 / Keita Hatori)

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