「魂込めて投げろ」抽象的な根性論とは決別 朝日参院議員らがスポーツ科学施設訪問

「NEXT BASE ATHLETES LAB」を視察した国会議員4人【写真:宮脇広久】
「NEXT BASE ATHLETES LAB」を視察した国会議員4人【写真:宮脇広久】

広がる未来「1人1人に対応したテーラーメード型の指導が可能に」

 国学院大・人間開発学部准教授で、同社エグゼクティブフェローの神事努(じんじ・つとむ)氏は「野球界ではこれまで、魂を込めて投げろ、キレのいいボールを投げろ、ボールを押し込んで打て、といった経験則に基づく抽象的なアドバイスが幅を利かせ、選手個々の技術、骨格などの違いを無視した“診察なき処方”も多かったと思います」と強調。「これからはスポーツ科学を用いた測定、分析によって、客観的で1人1人に対応したテーラーメード型の指導が可能になります。医療施設との連携も図っていきたい」などと説明すると、議員らは耳を傾けていた。

 朝日議員は「これまでもおそらく、測定する技術そのものはあったと思いますが、分析し、選手にわかりやすいように加工するという“つなぎの部分”を神事さんが考案されたことには、非常にインパクトがある」と感嘆する。

 牧原座長は「日本のスポーツ界はどちらかというと根性論で、怪我などで若いうちに選手生命を失う人たちもいたと思う。こういう物を取り入れて、怪我の防止と個人の能力の最大化を図ってほしい」と感想を述べた。その上で「われわれ調査会では、ナショナル・データ・センターをつくろうと政府に提言し、検討してもらっているところです。個別のデータをそれぞれの選手へフィードバックすることも大事ですが、それを国も応援してストックし、さらにAI(人工知能)が分析をサポートできるようになれば、スポーツのDX(デジタルトランスフォーメーション)化が進むのではないか」と近未来像を描いた。スポーツに精神論が入り込む余地のない時代が、すぐそこまで来ているのかもしれない。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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