オリックス“苦難のリーグ連覇”を支えた功労者は? 離脱者続出も新たな戦力が台頭

オリックス・阿部翔太【写真:荒川祐史】
オリックス・阿部翔太【写真:荒川祐史】

序盤戦を支えた投手が離脱も…新たな投手がその穴をカバー

 次に、主なリリーフ投手の成績を取り上げる。

 昨季の優勝メンバーから、28ホールドを挙げたタイラー・ヒギンス投手が抜け、まずは勝ちパターンの再構築が命題に。序盤戦で活躍を見せた新外国人のジェシー・ビドル投手が交流戦を境に調子を落とすと、5月からは近藤大亮投手がセットアッパーを務め、黒木優太投手と共にトミー・ジョン手術からの鮮やかな復活を示した。

 近藤と黒木が新型コロナウイルスの影響で離脱を余儀なくされて以降は、今季途中に育成から支配下に昇格した宇田川優希投手が防御率0.81とブレーク。ドラフト7位ルーキーの小木田敦也投手や5年目の本田仁海投手も台頭し、終盤の試合運びに安定感をもたらした。

 その中でも、プロ2年目の阿部翔太投手が見せた活躍は出色だった。ルーキーイヤーはわずか4試合登板にとどまったが、今季は44試合で防御率0.61、K/BB4.20と大躍進。22ホールド、3セーブと勝ちパターンに定着し、10月2日のシーズン最終戦では9回を締めくくって“胴上げ投手”となった。

 また、来日1年目のジェイコブ・ワゲスパック投手は先発ではやや安定感を欠いたが、リリーフに回ってからは198cmの長身から投げ下ろす快速球が大いに威力を発揮。山崎颯一郎投手もリリーフ転向後の10試合・15イニングで僅か1失点という圧巻の投球を見せるなど、個々の選手を見極めた適材適所の起用も光った。

 長年チームを支えてきたベテランの貢献も見逃せない。比嘉幹貴投手は32試合で防御率1.77だった昨季に続いて活躍し、奪三振率10.13、K/BBは12.00という驚異的な数字を記録。39歳で迎えた今季も、随所で卓越した投球術を見せつけた。抑えの平野佳寿投手は28セーブ、防御率1.57、K/BB3.50。新型コロナの影響で複数回の登録抹消を経験し、9月には2度のセーブ失敗を経験するなど終盤は苦しんだが、古巣復帰からリーグ連覇を果たした事実が、その存在価値を如実に物語ってもいる。

 山本という大黒柱をはじめ、主戦級の投手が比較的安定していた先発投手陣に比べて、リリーフ陣はシーズンを通して多くの変遷を経てきた。それでも、3連投を避ける先を見据えたブルペンのやりくりと新たな選手の台頭により、見事にシーズンを乗り切っている。

離脱者が相次ぐ中で、大黒柱をはじめとする昨季の主力が意地

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