NPB球団のアカデミーってどんなところ? 元楽天・鉄平コーチが教える“4つの約束事”

技術指導の目的は可能性を広げることと東北の野球技術の向上

 スクールの技術指導には、大きく2つの目的があります。1つは「子どもたちの可能性を広げること」、もう1つは「東北の野球技術の向上」。コーチ陣は今よりも野球がうまくなって、野球を好きになってほしい気持ちで子どもたちを教えています。投げ方であれば、より強く正確に、怪我をしにくいフォームを身に付けてもらいたいですし、打撃ではより強く遠くに打球を飛ばせるように知識や技術を伝えています。スクールをきっかけに少年野球チームに入ったり、中学生以降でも野球を続けてくれたりしたら、これ以上の喜びはありません。野球の楽しさを知るには、チームに入って仲間たちと頑張るのが理想です。そのための架け橋になれればと思っています。

 私が子どもたちを指導するうえで心掛けているのは、「こうしましょう」という言い方をしないこと。「方法の1つとして、こういうやり方もあるよ」と提案、助言します。野球に明確な答えはありません。特に打撃は、人によって感覚が違います。教わったことを「やらなくていい」という意味ではなく、色んな形を試して、合わないと感じたら無理に続ける必要はありません。プロまで野球をやってきたコーチ陣にはさまざまな引き出しがあります。子どもたちに色んなやり方を示して、新しい感覚が芽生えたらと思っています。

 スクールではもちろん、子どもたちに野球がうまくなってもらうための指導をしていますが、技術の習得以上に大切にしていることがあります。人間力の育成です。スクールでは全てのクラスで「しっかり返事をする」、「きちんと挨拶をする」、「素早く行動する」、「話を聞く」の4つを約束事にしています。

 なぜ、声を出すのか、返事をするのかについては子どもたちに話をします。返事は「はい」だけではありません。わからなかったら「いいえ」と答えて、意思表示することが大切と伝えています。理解していないのに練習するのは、子どもたちのためになりません。「はい」、「いいえ」で答える質問だけではなく、子どもたちが発言しやすい聞き方をするのも、アカデミーコーチに代々引き継がれている方法です。子どもたちの考えを把握するために、コーチから一方的に話さず、必ず会話のキャッチボールになるようにしています。

社会性を身に付ける第一歩に…繰り返し伝える挨拶や礼儀の大切さ

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