戦力外通告は「分かる」 プロ野球選手がセカンドキャリア形成で持つべき“武器”

学校法人高宮学園代々木ゼミナール副理事長・高宮敏郎さん【写真:荒川祐史】
学校法人高宮学園代々木ゼミナール副理事長・高宮敏郎さん【写真:荒川祐史】

「勉強、教育の現場でも通じるものがあって、タイムマネジメントはすごく重要」

高宮「長く現役をできる人との差はどういうところに生まれるんでしょう」

江尻「それこそタイムマネジメントというか、時間の大切さみたいなものに、いち早く気づいている選手は、間違いなく与えられる時間が多いんじゃないかと思います」

高宮「勉強、教育の現場でもそれは通じるものがあって、タイムマネジメントはすごく重要です。自分で考えて動ける子どもの方が間違いなく成長します。自分だったらどうするかなとか、常に考えることを繰り返すと、1日のちょっとの差が、長いキャリアで凄く大きな差になる。そういう思考力の鍛え方をすることは、セカンドキャリアにすごく生きるんじゃないかなと思いますね」

江尻「野球のときは野球だけに没頭することが将来にも生きるという考え方もあるかもしれないですよね。ただ、野球は野球、それ以外の時間はいくらでも作れるっていう形で何かをやってセカンドキャリアに生かしてるっていう人もたくさんいます。ただ、なかなかそうできない人、漫然と過ごす人が多いのは、プロ野球の世界に入ってきて、たくさんのお金を手にして、その時点で、ものすごい成功者なんじゃないかっていう錯覚を起こすからだと思います」

高宮「プロ野球に入っただけで、もうゴールにたどり着いた感じになってしまう」

江尻「過去をものすごく認められる瞬間なんです。でも、これがものすごく怖い。目の前に現れるのは今まで見たことないようなレベルの敵だらけ。昔はこれで抑えられたのになんで抑えられないんだろう、今まで見たこともないピッチャーだらけでどうしたらいいんだろうっていうときに、今までやってきたことが正しいはずだと考えているとすごく難しい。ここは違うぞ、と気づいて、今までやってきたことを疑ってみようとか、誰かの助けを借りてみようとか、そうやって一歩進める人の方が確実に残っていくと思います」

高宮「受験の世界でも似たようなところがあると思います。頑張って志望校に合格すると、認められるわけじゃないですか。場合によっては中学受験、高校受験、大学受験で、例えば東大とかって最難関に入った時には今までの18年間みんなOKよ、と。でも、そこがゴールじゃなくて、ある意味スタート地点、別のステージなんだと理解できないと、同じように間違いというか、止まってしまう感じはありますね。プロ野球の世界でも漫然と過ごしてしまう選手ほど息が短い」

「毎日が試合…常に試合だと思って、前日から準備をしたい」

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