2mの“超短距離”ダッシュで球速アップ 中日・小笠原が中学時代に取り組んだ練習

縄跳びやストレッチ交えたインターバル走も定番の練習

 体力をつける練習には長距離ではなく、インターバル走を取り入れた。グラウンドの右翼から左翼まで1分30秒ほどかけてゆっくり走り、左翼についたら1分間縄跳びをする。今度は左翼から右翼へ同じスピードで走り、到着したら縄跳びをする繰り返し。縄跳びの代わりに股関節のストレッチなどをする時もあった。他にも、単調な練習で選手が飽きないように工夫を凝らした。

 小笠原は走る練習があまり好きではなかった。野手を含めた全体練習でランニングをすれば最後尾を走っていた。だが、長坂さんが課した2メートルダッシュは、球速が上がると信じて決して手を抜かなかった。長坂さんは言う。

「小笠原は自分でやると決めた練習は誰よりも一生懸命でした。球速は上がり、太ももがすごい太さになっていました。練習自体はつらいはずですが、目的を達成する楽しさに変えていました」

 つらさを楽しさに変換できるところに、上手くなる選手の共通点があると長坂さんは長年の指導から感じている。体づくりや技術の向上に、きつい練習は避けられない。きつい練習を前向きにできる選手は上達すると指摘する。

「現役時代に自分より上手かった選手、プロに行った選手たちを見ていると、きつい練習でも、あと1本、2本と他の選手より多く回数をこなしていました。つらい練習の中に楽しみや達成感を見出せる選手は成長できると感じています」

 長坂さん指導のもと、球速アップのために2メートルダッシュやインターバル走、ジャンプをトレーニングに取り入れた小笠原。東海大相模時代に甲子園に出場して150キロを超える直球で打者を圧倒した姿、さらに中日でのプレーが、中学時代のトレーニングの効果を証明している。

(間淳 / Jun Aida)

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