「お前は辞めろ、向いてない」 怒声が元凶の少年野球の“移籍問題”、指導者が犯す罪
大人と子どもの『1年』の感覚は違う、『あと1年』と『まだ1年』
相談に乗ってあげて、その後に移籍した子の親は本当に移籍して良かったと思うという意見が多いです。子どもが野球を楽しんでやっている姿を見ると「もっと早く決断すればよかった」と思う人がいます。我慢してチームに留まった子の多くは結局、野球は怒られるものと思ってしまい、野球を辞めてしまったという話もよく聞きます。
よくあるのが、6年生だから卒業まであと1年なので我慢させます、という親御さん。親御さんからしたら『あと1年』だけど、子どもからしたら『まだ1年』なのです。その結果、お子さんは、毎週、お腹が痛くなる金曜日がやってくるわけです。チームや指導者の方に不満がある場合は、チームを移籍するか、チーム内を改革するか、我慢して残るか、これら3つの選択しかありません。
最初の2つは良くなるか悪くなるかわかりませんが、状況は変わるはずです。でも、我慢して残るという選択肢だけは何も状態は変わりません。行動しなければ何も変わりませんから。そうであれば、新しい局面になるためにも何か行動した方がいいと思います。皆さん、自分のチームのことしかわからないので、他にいいチームはいっぱいありますよって、僕は声を大にして言いたいのです。
『うちのチームで、こんなことがあったのです。これって普通のことなのでしょうか?』というご相談をいただくのですが、普通ではないことがたくさんあります。一番驚いたのは、自分の子どもが監督にひっぱたかれたら、周りの親御さんたちから『殴られたのは、監督に期待されている証拠だから、良かったね』って言われたのですが、これって普通ですか』というご相談。どう見ても普通ではないですよね。そういうチームにいると「あなたも麻痺しますよ」とお話ししました。数年後「あなたも同じことを言う親になっているかもしれませんよ」と。汚れた水の中にいると濁ってきますから。
我慢するっていう選択は、最も大変だと思います。でも、そう決めたら頑張るしかありません。ただ、やはりいい結果にはなっていないことが多いのが現実です。その後に、連絡を取ったときに、やっぱりあの時に移籍すれば良かったですというお答えが多いです。