DeNA戦力外から1年…乙坂智が南米で“金字塔” つかんだ「メジャーへの足がかり」
データがない中で盗塁を重ねるには…己の観察眼が頼り
相手のデータが事前に用意される日本のプロ野球とは違い、試合前のミーティングもなく、相手の情報がほとんどない中で試合に挑み、盗塁を積み重ねた。同リーグは8チームで構成されているが、試合日程は日本のような3連戦ではなく、ほぼ毎日対戦相手が変わる変則日程。カードごとの各投手との対戦回数も少なく、選手の入れ替えも頻繁に行われるため、前回の対戦時とは相手投手の顔ぶれも大きく変わり、いなくなっている選手もたくさんいたという。
「選手の入れ替わりが本当に激しいので、コーチに聞いても精度の高い情報が入ってこない時もあるんです。それで、試合前にブルペンで投げている相手の先発投手を目を凝らして観察し、球種をチェックしていました。他の選手の出塁時も相手投手の動き、癖を読み取ろうと必死でした」
相手投手の持ち球が分かれば、遅い変化球を投げるタイミングを読み取り、盗塁成功の確率を高めることができる。そんな地道なルーティンを日々コツコツと続け、独自に情報を収集し続けた。
同リーグでは選手の契約は2週間ごと。外国人枠は5人で、助っ人として結果を残さなければ明日はない、というプレッシャーに押しつぶされそうになったこともあったが、2か月間、無我夢中で走り続けた。