あえて子どもに求める「成果主義」 少年野球のカリスマ・辻正人監督の“時代先取り”指導
滋賀・多賀少年野球クラブ レギュラーと控えを分けたチーム編成に変更
「令和の根性野球」と同時に、成果主義を導入した。3度の日本一を誇る滋賀・多賀少年野球クラブの辻正人監督が新たに打ち出した方針を4回に渡って掘り下げる連載。2回目は、選手に序列をつける成果主義。小学校が「みんな平等」の今だからこそ、時代の先取りが将来に生きると考えている。
辻監督が率いる多賀少年野球クラブは昨夏、4度目の日本一に自信を持って全国大会に臨んだ。しかし、結果は2回戦敗退。会場の東京から地元の滋賀へ戻るバスの中で、選手たちは号泣していたという。そして、辻監督は、コーチから要望に近い提案を受けた。
「やる気のある選手だけ徹底的に鍛えたい。メンバーを絞ってもらえませんか」
メンバーは現在、園児から小学6年生まで100人を超え、全ての選手に公式戦と練習試合での出場機会が与えられている。夏の全国大会だけが唯一の例外で、ベンチ入り20人を絞り込む。コーチからの打診は、その20人をレギュラーのAチームと控えのBチームに分けるものだった。辻監督は言う。
「多賀には本気で全国優勝したい選手と、楽しく上手くなりたい選手または保護者の両方がいるので、選手が100人以上になっています。本気の選手だけに絞ったら、半分以下になると思います」
楽しさと強さの両立を掲げ、チームをつくってきた。全国大会で敗退した後の選手やコーチの姿を見れば、どれだけ勝ちたかったか理解できる。もちろん、指揮官自身も常に勝利を追い求めている。