女子選手憧れの舞台に…日本で「ワールドシリーズ」開催へ、ポニー米国トップの想い

「PONY Baseball and Softball International」のエイブラハム・キーCEO兼社長【写真:編集部】
「PONY Baseball and Softball International」のエイブラハム・キーCEO兼社長【写真:編集部】

エイブラハム・キーCEO兼社長が来日、女子に「世界レベルで輝ける場所を」

 今夏、野球を愛する女子選手にとって“希望”となる世界大会が、栃木県で産声を上げる。それが「ECCインビテーション SSKカップ 第1回PONY女子野球ワールドシリーズ」だ。米国ペンシルベニア州に本部を置き、世界50か国に展開するポニーリーグが主催。民間団体による初の女子世界大会開催に寄せる想い、そして記念すべき第1回大会を日本で開催する意義について、1月末に来日した「PONY Baseball and Softball International」のエイブラハム・キーCEO兼社長(以下キー社長)に聞いた。

 これまで女子野球の世界大会と言えば、WBSC(世界野球ソフトボール連盟)の主催する「女子野球ワールドカップ」が唯一のものだった。だが、各国代表として出場するのは成人女性がメインで、育成年代の“野球少女”には目標となる世界の舞台がなかった。「野球を愛する女子選手たちが世界レベルで輝ける場所を作りたかった」とキー社長は話す。

 1995年から現職に就くキー社長は、長きにわたり子どもたちを巡る野球環境の変化を目にしてきた。日本同様、米国でも近年、野球人気は他のスポーツに押され気味。コロナ禍によるスポーツ離れの影響も大きく、2021年の登録者数はコロナ以前と比較すると65%まで落ち込んだ。2022年には同95%に回復したが、その中でも着実に数を増やしているのが女子選手の数。男子と一緒にプレーする選手が大半だが、女子のみで構成されたチームも複数あるという。

 日本では小学生女子の野球人口は増加しているが、中学生になるタイミングで部活や近隣に女子野球チームがなく、ソフトボールに転向するケースが多く聞かれる。米国でも同様のことが起きているという。

「アメリカでは女子野球チームではなく、人気競技でもあるソフトボールチームを持つ高校が圧倒的に多い。ここでソフトボールに転向したり、ソフトボールとの二刀流になる女子選手が多くいます。野球に魅力を感じ続けてもらうためにも、目標となるハイレベルな舞台が必要だと思いました」

 体格差によるハンデをできる限り減らすため、ポニーでは年齢に応じ、2歳刻みでカテゴリーを設置。毎年夏には本部のある米国で、9~10歳のマスタングから17~18歳のパロミノまで8つのカテゴリーで世界一を決めるワールドシリーズを開催してきた(コロナ期間中を除く)。今回、9つ目のカテゴリーとなる「女子野球ワールドシリーズ」の開催地に選ばれたのは栃木・小山市と栃木市。日本ポニーベースボール協会の広澤克実理事長や那須勇元事務総長の熱心な働き掛けもあり、実現した。

キー社長が強調する野球の普及・発展における日本の重要性

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