選手に「やれ!」とは言わない 元ロッテ投手コーチが実践した「教えない指導」

指導者の役割は「練習の意図を伝えて選手のやる気を高めること」

 川越さんの指導は「待つスタイル」。選手が「どうしたら良いですか?」と聞いてきた時をチャンスととらえた。「質問や相談してくる時、選手は聞く耳を持っています」。普段から選手の課題を把握し、修正点や練習方法をアドバイスする準備をしておく。そして、相談を受けた時に提案する。

 選手が納得する理由や選択肢を示し、修正に取り組んでもらうためには、指導者側の学びが欠かせない。川越さんはトラックマンやラプソードといった最新機器のデータ活用法やデータと選手の動きをリンクさせた分析など、新しい知識を積極的に取り入れた。

「今は情報のスピードも量も自分の現役時代とは比べものになりません。学ばない指導者は置いていかれます。最先端の知識や技術と昔ながらの良い部分を融合させた指導が理想です」

 データや映像を活用して、どこに改善ポイントがあるかを説明すると選手は納得する。良い時と悪い時を客観的に比較できるのも、今の時代ならではのメリット。川越さんは「練習の意図を伝えて選手のやる気を高めることが指導者の役割だと思っています」と話す。

 ロッテのコーチを退き、今年からは横浜市で室内練習場を運営する「tsuzuki BASE」の野球スクールで投手担当のパーソナルコーチを務めている。指導の幅を広げようと、メンタルトレーニングやビジョントレーニングの勉強も始めている。学びを止めることはない。

(間淳 / Jun Aida)

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