30点大敗チームが3年で“優勝4回”の強豪に 杉並中野ポニーが重視する「3つの指針」

幼児から中学生まで自分で考える野球で育む杉並中野ポニー【写真:編集部】
幼児から中学生まで自分で考える野球で育む杉並中野ポニー【写真:編集部】

息子の野球転向をきっかけに学童野球に携わりはじめた栄枝慶樹さん

「Protect Our Nation’s Youth(国の宝である青少年を守ろう)」という理念に基づき、1951年に米国で産声を上げたポニーリーグ(PONY Baseball and Softball)は現在、世界50か国で50万人を超える選手が登録している。1975年には日本ポニーベースボール協会が発足。創設時の理念を踏襲し、子どもたちが健康に野球を楽しめるように様々な工夫を凝らしている。

 中学硬式野球の中でもいち早く投球数制限を設けたり、打球が飛びすぎない低反発バットを採り入れたり、指導者や父兄による怒声罵声にイエローカードを出す制度を作ったり、独自の取り組みを実施。行き過ぎた指導や根性論とは一線を画するアプローチに賛同する指導者が増え、2022年には女子1チームを含む15チームが新たに加わった。

 新規加入したチームの1つが、東京で活動する杉並中野ポニー(杉並中野GALAXY)だ。チーム代表・栄枝慶樹さんはプロ野球選手の代理人としての活動と並行して、スポーツアカデミーを経営。さらには、杉並中野ポニーの活動日には練習に参加し、子どもたちに野球の魅力とスポーツマンシップの大切さを伝えている。

 栄枝さんが学童野球に携わることになった経緯が面白い。今から4年前のこと。小学2年生だった息子のパパ友・ママ友から熱心な誘いを受け、さらに「外堀を埋められました」と笑う。当初サッカーをしていた息子が仲のいい友達に口説き落とされ、野球をしたいと言い始めたのだ。

 だが、入団した学童野球チームは弱かった。「中野区の大会で0-20、0-30という大差で負けるチーム。選手数も激減して、中学で野球を続ける子がほとんどいませんでした」。息子が入団してから1年ほどは父兄の一人として参加。指導はしていなかったが、ついに保護者会の全会一致で監督就任要請がきた。

 代理人として野球に携わるだけではなく、学習院大では硬式野球部主将を務め、大学卒業後は銀行に務めながら学習院高の監督を任された経験を持つ栄枝さん。他の保護者たちが「弱いチームを何とかして!」と頼りたくなるのも無理はない。「毎週土日がつぶれるのかと思うと気が重かったです(笑)」と当時の気持ちを明かすが、子どもたちのために立ち上がった。

杉並中野ポニーの軸となる3つの指導指針とは

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