激戦区・神奈川で準優勝…相洋・高橋伸明監督の原点 今も忘れられない高校時代の“悔い”
高橋伸明監督は相洋OB…全力疾走を怠ったことを今でも悔いる
高校野球春季神奈川大会で、横浜、東海大相模を連破して準優勝を果たした相洋。23年ぶりに出場した春季関東大会では、2回戦(初戦)で作新学院(栃木)を下し、準々決勝では専大松戸(千葉)に敗れはしたが、1点差の熱戦を演じた。この春、神奈川の高校野球界でもっとも大きな注目を集めた学校と言って、間違いないだろう。
指揮を執るのは、相洋のOBである高橋伸明監督。専修大を卒業したあと、2007年からコーチを務め、2012年に監督に就任した。現在38歳。指導者としての原点は、悔しさを味わった学生時代にある。
高校3年生(2002年)の夏、キャプテン・3番・サードの大役を担っていた高橋監督は、準々決勝まで勝ち進み、桐光学園と対戦した。桐光学園は前年春に初の甲子園出場を遂げ、学校として勢いに乗り始めた時期だった。
0-0で迎えた6回表、1死走者なしで、3番の高橋監督に打席が回った。チャンスメークが求められる場面であったが、打球はライトへの平凡なフライ。「アウトか……」と思いながら走っていたところ、桐光学園のライトがまさかの落球。スピードを緩めていたため、二塁を陥れることはできなかった。
「はじめから全力で走っていれば、二塁まで行けたはずです。『桐光の選手が落とすわけがない、これはアウトだな』と決めつけていました」
チームを引っ張るキャプテンとしても、あってはならない走塁だった。その後、2死三塁まで攻め込むも無得点に終わり、直後の6回裏に先制を許し、0-1で敗戦。勝利した桐光学園が準決勝で平塚学園、決勝で東海大相模を破り、初の夏の甲子園を掴んだ。