「厳しいチャレンジになる」 事業規模は2.5倍…2軍参戦球団にのしかかる“課題”

会見に臨む新潟アルビレックスBC・池田拓史代表取締役社長【写真:宮脇広久】
会見に臨む新潟アルビレックスBC・池田拓史代表取締役社長【写真:宮脇広久】

NPB2軍戦に参戦の新潟アルビレックスBC…「17年間の歴史と実績が強み」

 来年からNPBの2軍公式戦に参加することが内定した新潟アルビレックス・ベースボール・クラブ(BC)が2日、新潟市のHARD OFF ECOスタジアム新潟で会見を行った。11月のNPBオーナー会議で進捗状況を報告し、問題がなければ正式決定する見込みだ。

 池田拓史社長は「それまでに施設の整備、選手、コーチ陣、スポンサーの拡充などにメドをつけなければならない」と吐露。永続的な参加には課題も多く、「ここからの1か月から1か月半が勝負。どれだけエネルギーと情熱を持って準備を進められるかにかかっている」と表情を引き締めた。

 アルビレックスBCは2006年に設立され、翌2007年創設の独立リーグ「BCリーグ」(現ルートインBCリーグ)に参加。2011年には元ヤクルトの橋上秀樹氏が監督を務めた。同年に現ヤクルト監督の高津臣吾氏も現役投手としてプレーし、2012年には選手兼監督に。DeNA・知野直人内野手(2018年ドラフト6位)ら、これまでにNPBへ7人の選手を輩出している。2021年には橋上氏が10年ぶりに監督復帰した。池田社長は「17年間にわたる球団経営の歴史と実績が、私どもの強みです」と強調する。

 来年はアルビレックスBCがイースタン・リーグ、静岡のハヤテ223(ふじさん)がウエスタン・リーグに参加する見込みとなったが、2軍とはいえ、NPBのリーグに参加するとなると、運営規模を大幅に拡大しなければならない。

 アルビレックスBCは、既に全日程を終了した今季BCリーグで63試合を行ったが、NPBの2軍は年間約140試合をこなし、その半分の70試合前後が主催試合となる。試合数が2倍以上になるわけで、選手数もこれまでの26〜27人(練習生を除く)から、40人に増やす必要がある。となれば、リーグの技術レベルも上がることから、指導陣の増員(現在は監督1人、コーチ2人)、球団スタッフの確保も不可欠になる。

本拠地となる「HARD OFF ECOスタジアム新潟」【写真:宮脇広久】
本拠地となる「HARD OFF ECOスタジアム新潟」【写真:宮脇広久】

地域活性化へ「トップレベルのプレーを観戦する機会が増える」

 試合会場はHARD OFF ECOスタジアム新潟を本拠地に、その他の県内球場でもホームゲームを開催できるように調整を進めていく。長岡市の越路河川公園野球場を練習拠点とすることは従来通りだが、室内練習場、選手寮を新設する方針で、「来春までに建設するのは難しいですが、早急にビジョンをまとめ、プランをお示ししたい」と池田社長。

 特に室内練習場は重要ポイントと位置づけており、「新潟は雪国ですから、選手が天候に関わらず技能を磨ける環境は重要度の高いテーマだと思います。寮と隣接することが理想」と説明する。

 何をやるにしても、莫大な資金が必要となる。池田社長は「最低ラインとして2.5倍前後の事業規模に持っていかなければ、NPBのファームリーグで安定的な球団経営を行うことはできない」と計算。新しいスポンサーメニューの開発、新規スポンサーの獲得などによる営業収入の大幅アップが求められており、「そこはかなり厳しいチャレンジになると思います」と覚悟している。

 NPB2軍戦参加が正式決定すれば、「レベルの高い選手が新潟県にとどまる、あるいは集まるという状況が生まれると思います。ファンにとっても、トップレベルのプレーを身近に観戦できる機会が飛躍的に増える」と目を細める池田社長。地域活性化のための試みは、「まだスタートラインにつくための準備を始めさせていただく段階」だが、力強く第一歩を踏み出そうとしている。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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