スカウトも注目…早大に現れた逸材遊撃手 抜群の守備力、NPB入りは「可能性はある」

早大・山縣秀【写真:加治屋友輝】
早大・山縣秀【写真:加治屋友輝】

「上手い選手のところに打球が飛んだという点で流れがこちらにあった」

 早大は開催中の東京六大学野球春季リーグで単独首位。さらにチーム内には、今秋のドラフトでNPB球団から指名されることを目指している4年生がいる。中でも異色なのが、全国でも有数の超難関校として知られる東京・早大学院高出身で、抜群の守備力を誇る山縣秀(やまがた・しゅう)内野手だ。

 NPBの広島・菊池涼介内野手や中日・田中幹也内野手をほうふつさせる“スーパープレー”だった。19日の法大2回戦。早大は2-0の僅差で迎えた9回の守りで、1死一塁の状況となった。相手の4番・松下歩叶内野手(3年)が放った痛烈なゴロが三遊間を襲う。遊撃の山縣は逆シングルで捕球すると、スライディングしながら二塁へ正確に送球。一塁走者を刺し、法大から勝ち点をもぎ取るキー・プレーとなった。

 小宮山悟監督は「上手い選手のところに打球が飛んだという点で、こちらに流れがあった」と胸をなでおろした。

 早大学院高出身のプロ野球選手には、早大を経て強打の外野手として中日入りし、2年目の1959年に本塁打・打点の2冠に輝いた故・森徹氏がいるが、極めて珍しい。

 山縣は2年生だった2022年の秋に遊撃レギュラーの座を獲得。昨年は遊撃を1年先輩の熊田任洋内野手(現トヨタ自動車)に譲り二塁を守ったが、今季から遊撃に戻っている。

 小宮山監督は「山縣は『俺はグラブで飯を食うんだ』というくらいの覚悟で、プロに行きたいと言っている」と明かす。指揮官は元プロで、投手としてNPB通算117勝を誇るとあって、「守備をプロがどう評価するかだけれど、あの打力では無理だよね。プロをなめてもらっては困る」と言いつつ、「守りだけでも、というチームがあるなら、可能性はゼロではない」と親心をのぞかせる。

プロのスカウトも「ショートが欲しい球団なら可能性はある」

 広島の苑田聡彦スカウト統括部長も「ショートが欲しい球団なら、可能性はある」と見ている。その上で、広島でショートとしては今季チーム最多の20試合にスタメン出場(19日時点)している矢野雅哉内野手(2020年ドラフト6位で亜大から入団)と比較。「大学時代の打撃では、矢野よりも山縣の方が上かもしれません。しかし、矢野には捕ることに加えて、強肩と足の速さという抜群の武器がありました」と指摘する。

 山縣も守備以外にアピールポイントが欲しいところ。小宮山監督は「あの打力では無理」と言うものの、今季はリーグ2位の打率.424(19日時点、以下同)をマーク。さらに、リーグ最多の9犠打が光っている。確かに現時点で、プロで活躍するにはややパワーが足りないかもしれないが、つなぎ役の2番打者としてチームへの貢献度は非常に高い。

 また、山縣にはドラフト前に秋季リーグも残されている。小宮山監督は「これからどういう風になるか。打てば評価も上がるでしょう」と祈るような表情を浮かべている。

 一方、早大ではチームの主将で4番も務める印出太一捕手、左打ちの吉納翼外野手もドラフト候補。吉納は昨秋、12試合で打率.324、3本塁打9打点と活躍したが、今季は一転、10試合で.229、1本塁打6打点と苦しんでいる。小宮山監督は「少し力み過ぎですが、どうしてもネット裏(スカウト)の評価が気になるでしょうから、しょうがない。平常心でやれという方が無理な話ではある」と気をもむ。大学野球の監督にとってはチームの勝利と同時に、4年生の進路に心を砕く日々が続く。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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