ドラフト指名へ…清原正吾が見せた“修正力” 2三振から課題克服アピールの一振り
課題の“外角変化球”で連続空振り三振も…第3打席で中前打
慶大は6日、神宮球場で行われた東京六大学野球秋季リーグの東大2回戦に1-4で敗れ、1勝1敗のタイとなった。昨秋優勝の慶大が53季連続最下位の東大に黒星を喫するのは、2022年秋の1回戦以来、2年ぶりだ。それでも4番の清原正吾内野手(4年)は4打数2安打で、“修正力”の高さを実証した。
黒星どころではなかった。慶大打線は東大先発・鈴木太陽投手(4年)の前に、5回まで1人の走者も出せずにいた。ストレートを軸にカーブ、カットボール、スプリットをまじえた投球に幻惑され凡打の山。6回1死で代打・丸田湊斗外野手(1年)がフルカウントから四球を選んだのが、チーム初出塁だった。
7回1死で3番・水鳥遥貴内野手(4年)がチーム初安打となる中前打。ここで清原が第3打席を迎えた。
2回先頭での第1打席では、カウント1-2から外角低め107キロのカーブに空振り三振。5回先頭の第2打席もカウント1-2から103キロのカーブに空振り三振を喫した。同じパターンで仕留められていた。
秋季リーグは8試合で打率.212、1本塁打2打点
しかし、第3打席は違った。カウント1-1から投じられた105キロのカーブを一閃。痛烈な打球が左翼ポール際に飛んだが、ファウルとなった。その後もファウルで4球粘り、カウントは3-2。10球目の106キロのカーブをバットの先で拾うと、打球はゴロで中前へ抜けていった。このヒットでチャンスが一、三塁に広がり、続く横地広太外野手(2年)の左犠飛につながった。
中学、高校時代に野球から遠ざかっていた清原の最近の急成長ぶりを、慶大・堀井哲也監督は「まず、ストレートに負けなくなった。次に、甘い球にどんどん手が出るようになった。ここに来て、インコースをさばけるようになった」と高く評価。残る課題として「外角へ逃げる変化球」への対応を挙げている。その意味で、第1、第2打席に捉えられなかった変化球に、第3打席で対応した意味は大きい。
9回2死で迎えた第4打席。凡退すれば最後の打者になるところだったが、カウント1-2から136キロの外角ストレートを中前へ弾き返し、意地を見せた。結局、1失点完投勝利を挙げた鈴木太に対し、慶大打線が放った3安打中、2本を清原が放った。
清原の今季成績は8試合で打率.212(33打数7安打)、1本塁打2打点。明大1回戦では念願のリーグ戦初本塁打を、9回2死からの劇的同点ソロで飾るなど、随所で“千両役者”ぶりを見せている。キャリアは短いものの対応力、修正力も驚異的だ。24日に迫るドラフト会議で、プロ側はどう評価するだろうか。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)