野球を“カッコよく”進化… ストリート競技「Baseball5」が注目されている理由
都内で小学生が熱戦 元巨人・高橋由伸氏も参戦
野球をよりスピーディに、カッコよく進化させたストリート競技「Baseball5」の体験イベントが12日に東京都の港区スポーツセンターで開かれ、小学3年から6年の参加者がその魅力に触れた。使うのはやわらかいゴムボール。4つのベースがあり、1周してホームに生還すれば得点という部分こそ野球と変わらないものの、フィールドは18メートル四方、1チームは5人。打席では自分でトスしたボールを打つなど大きな違いもある新スポーツに、子どもたちはすぐ慣れ、プレーはみるみる熱を帯びていった。
「Baseball5」は、五輪金メダル3度の野球強国・キューバの路地裏で展開されていた「ストリート・ベースボール」が起源とされる。2017年に世界野球ソフトボール連盟(WBSC)が普及を開始すると、ボール1個あればできる手軽さが受けた。9人の選手や、道具を整える手間が野球普及の壁となっていたアフリカや欧州でもじわじわと広まり、現在70か国以上でプレーされ、豪州などでは学校体育の一環として扱われている。2022年にはワールドカップが予定され、2026年にセネガルの首都・ダカールで行われるユース五輪の正式種目入りも決まり、WBSCはその先に「ベースボール系」として五輪種目とすることまで視野に入れ、競技の輪を広げようとしている。
サッカーに対するフットサル、バスケットボールに対する3on3のように、規則に縛られるよりとにかく楽しくプレーするというスタンスも受けている。今回のイベントには軟式野球をプレーする小学生のほか、東京都文京区のサッカーチーム「ラスカル千駄木」からも参加があった。最初はボールを投げる、取る、打つといった動作に戸惑っていたメンバーもすぐに慣れ「ボールが小さくて狙いを定めるのが難しかったけど、すぐに慣れた。打つのは楽しかった」と笑顔を見せた。
イベントには前巨人監督の高橋由伸氏がゲスト参加し、飛び入りで子どもたちと一緒にボールを追う場面も。「やわらかいし、滑るボールが難しい」と苦笑いしながらも、守備の助っ人としてグラウンドに立てばゴールデングラブ賞7度受賞の動きは健在。華麗なボールさばきで保護者の熱い視線を浴びた。
全日本軟式野球連盟では「野球チームに入るまえのきっかけづくり」と位置付けており、未就学児童から五輪レベルのアスリートまで、だれにでも楽しめる間口の広さが大きな魅力。存在が知られていけば、野球人口の減少に歯止めをかける切り札にもなり得る。