選手への“平等性”と勝負への“こだわり” 少年野球の「教員監督」が抱えるジレンマ
8月のマクドナルド・トーナメントで3位入賞を果たした岩見沢南ビクトリー
8月に新潟で行われた「高円宮賜杯 第41回全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメント」に初出場して3位入賞した岩見沢南ビクトリー(北海道岩見沢市)。昔ながらの地域に根差したチームを率いるのは、岩見沢南小の教員を務める坂下賢一監督だ。少年野球の世界では少数派である“教員監督”のメリットやジレンマとは?
今夏の快進撃の中心になった10人の6年生は、3、4年生の時に坂下監督が担任した児童たち。「子どもって、学校生活と野球では違うところもあるし、共通点もあるんですよ。それは後から分かることなんですけどね」と、個々の様々な一面を発見する楽しさを口にする。
「教員をしていることが直接、采配や何かに生きるかと言えば、そんなに多くはないです。ただ、野球が良くなれば、学校生活も良くなる。学校生活が良くなると、野球も良くなったりと相乗効果はあると思います」。実際に、野球での成長を期待しながらクラスでの行動を褒めることもあれば、教室で自信をつけてほしいという願いを込めて練習で意図的に声をかけることもある。
30年を超える教員人生で、ジレンマにかられた時代もあった。先生として公平性を保ちたいと思う一方、指導者としては勝負に徹したいとの思いも。「教員監督はやはり『教員的配慮』と言われる全員出場させたいという平等性みたいなものが仕事柄強く出てくるような気がします。勝ちから学ぶことも多くあります。でも、平等性を前面に出していくと勝ちから遠くなることもある。両立を目指したいところですが、なかなか難しい」と打ち明ける。