「お前は辞めろ、向いてない」 怒声が元凶の少年野球の“移籍問題”、指導者が犯す罪

専門家が考える少年野球の「移籍問題」【写真:Getty Images】
専門家が考える少年野球の「移籍問題」【写真:Getty Images】

野球講演家・年中夢球さんが訴える“子どもファースト”の世界

 少年野球を取り巻く指導者、保護者にはまだまだ問題が多く残る。リトルリーグなどで約20年間、少年野球の指導に携わり、現在は講演や書籍、SNSを通じて、指導者や保護者に経験や考えを伝えている野球講演家の年中夢球さんは、野球少年・少女の保護者から多くの相談を受け、解決している。1人でも多くの子どもたちが野球を楽しく続けてほしいと願い、Full-Countでは定期連載をスタート。第1回は相談ごととして最も多い「移籍問題」だ。専門家が移籍を勧めるケース、勧めないケースとは?

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 私は講演やインスタライブなどで多くの少年野球の保護者から質問を受けます。一番多く聞く悩みは移籍に関する問題です。チーム内で問題が起き、移籍をした方がいいのか、このままとどまった方がいいのかという悩みがダントツです。

 それは保護者の指導者への不信感とも言えます。いわゆる暴言、怒声、罵声、心ない言葉を浴びせられるというご相談が多く来ますね。「お前は辞めろ、野球に向いていない」「何を言っても上手くならない」……。こんな言葉を投げかけられている野球少年がたくさんいるのが現状です。このようなケースでは私は移籍を勧めます。厳しい練習に対する「頑張り」は必要だと思いますが、指導者から暴力を振るわれていることや暴言に対しての「頑張り」はいりません。

 次に多いのは「人数が少ないので移籍したい」というご相談です。もちろんいろいろな考えがありますが、これは少し違うかなと思い、移籍はよく考えるべきだと思います。人数が少なくても、きちんと指導されている指導者さんもいます。そこで頑張ってほしいと思います。例えば、6年生が1人しかおらず「だから移籍する」のではなく、その1人しかいない状況で「どうやって頑張るのか」を教えるのが親だと思っています。ゴールは少年野球ではありません。少年野球という今だけを切り取って見ないようにしていただきたいです。

 少年野球の時に、あまり強くはなかったけれど、そこでの経験をどう中学、高校で生かすのかを親御さんには考えていただきたいのです。結局、人数が少ないことを理由に移籍した方がいらっしゃいましたが、しばらくしてから連絡があって、今度は人数が多くて試合に出られないから移籍しますと……笑。こういう移籍は親御さんが目先のことしか考えていない証拠で結果的に子どものためにならないと感じます。

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