中学硬式5団体初の「日本一決定戦」 リーグで異なる“野球観”…球界変革へ見えた課題
ボーイズ代表として「エイジェックカップ」に出場した明石ボーイズ
中学硬式野球5団体の優勝チームが頂点を競う「1stエイジェックカップ」(大阪シティ信用金庫スタジアム・甲子園)が28、29日に行われた。各団体の夏王者が集結した“日本一決定戦”は今後の中学野球界が大きく変わるきっかけになるかもしれない。
ボーイズ代表として出場した「明石ボーイズ」は28日、フレッシュリーグ代表・佐賀フィールドナインとの初戦に0-5で敗れた。今夏はボーイズ日本選手権で初優勝を飾った筧新吾監督は「他リーグの強いチームと対戦できることで野球を学べる。選手もいい経験になったと思う。真剣勝負の中で感じられることがある」と、敗れても充実した表情を見せていた。
守り勝つ野球を重視するチームもあれば、細かなサインはなくガンガン打って出るチームもある。各団体の日本一チームにも様々な戦い方があった。筧監督も「リーグによって野球観が違って勉強になります。子どもたちも負けて自分の実力が分かったと思う」と、初の大会を振り返った。
他のリーグと交流を深めたことで見えてきたものもあるという。出場した5団体は硬式ボール、金属バットを使用するのは同じだが、スタンド応援の仕方、練習前の服装、球数制限の違いなど、統一されていない部分も多い。
同じ硬式野球でも球数などに違いがある中学の5団体
「例えば球数はボーイズで1日最大80球、シニアは90球とリーグによって違っている。野球の底辺を拡げるなら統一してもいいのではないのかな。ウォーミングアップの時の服装や応援もそうですよね。あとはクラブチームの運営はほとんどがボランティア。そこも限界がきていると思います」
野球人口減少が問題視される中、中学の部活動も地域移行が始まった。クラブチームの監督、コーチのほとんどは、仕事と両立しながら無給で指導している。保護者もお茶当番、送迎などの負担を減らすなど、“環境整備”の点でもまだまだ、改善の余地はあるとみている。
「最終的に野球が好きな子どもたち全てが入れるチーム作りができれば」
62歳のベテラン監督はリーグの垣根を超えた大会を通じ、今後の野球界が変化していくことを願っている。
(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)