史上稀にみる混セ、前半戦の数字で振り返る各球団の戦いと後半戦展望
勝敗は僅差、得失点差にはばらつき
前半戦を終え、セ・リーグは6球団が勝ち数、負け数でそれぞれ4つ以内にひしめく混戦となっている。数字上はどのチームにもチャンスがあるといっていい状況だ。
勝敗数と得失点を並べて見ると、勝敗数の接近に比べ、得失点差にはやや差がある。試合の中味についていえば、結果ほど均衡していなかったことになる。得点、失点から期待される、一般的な勝敗数を計算すると、広島が少し抜け出し、阪神は最下位に沈んでいたと推定される。それが覆った少しイレギュラーな状況が訪れていることになる。
「勝てる試合」に確実に投資したDeNA
こうした数字は、前半戦の成績をならしたものなので、前半戦、戦力・パフォーマンスがどう上下したかは見えてこない。そこで10試合目以降より、各試合を終えた時点での直近10試合ごとの平均得失点を算出し、その変動をグラフにし、得点をどう奪い、失点をどう喫しているかを、前半戦の順位ごとに可視化した。
○前半戦1位・DeNA
4月、6月の失点がかさんだ期間に、連敗を喫した。得点力で押し返せず、その結果負けが込んでしまった様子が見られる。好調だった5月は投手陣がフル回転し失点が3点を割るような試合が続いていた。6月の失点増はその反動とも言える。
好調時にブルペンの負荷を軽減しながら戦えていれば理想的だった、という考えもあるだろう。しかし、5月の勝てる時期に白星を積み重ねたからこそ、長期連敗を経ても上位争いから脱落せず耐え抜けたともいえる。そうした意味では、5月のブルペンの負荷は悪くない投資だったととらえることもできる。
得点力はある程度備わっているので、救援陣のコンディションの回復具合、新外国人投手の出来などが決する失点の量が、後半戦の成績を左右しそうだ。
少ない得点を守り切って勝ってきた巨人
○2位・巨人
赤い線で示した平均失点が深めの谷をつくっており、セ・リーグ平均を下回る状況が長く続いていたことがわかる。赤い線が谷をつくっている時期は勝ち星も伸びており、巨人が少ない得点を守りきって勝っていたとわかる。
平均得点はセの平均を超えている時期がほぼない。これは長打力不足に起因するもので、新たに獲得する可能性が浮上しているアレックス・カステヤノスや、主砲の阿部慎之助などの出来が抜け出すための条件となる。