名門・日産野球部が“異例”復活 「大変革期」勝ち残りへ…チーム存在が必要なワケ

活動再開を発表した日産野球部(写真は2009年のもの)【写真:日産自動車提供】
活動再開を発表した日産野球部(写真は2009年のもの)【写真:日産自動車提供】

日産九州は2024年、本社野球部は2025年の活動再開を目指す

 都市対抗野球で2度、日本選手権で1度の優勝を誇り、多くのプロ野球選手を輩出してきた社会人野球の名門・日産自動車硬式野球部の“復活”が、12日に正式に発表された。同社野球部は本社の経営難により2009年に休部となっていたが、日産九州野球部は2024年から、日産本社野球部は2025年から、それぞれ日本野球連盟に申請・承認を経て活動を再開するという。

 日産九州は、休部後に福岡県苅田町を拠点に活動してきたクラブチーム「苅田ビクトリーズ」をベースにチームを再建。本社野球部については神奈川県横須賀市を拠点に、追浜工場の敷地を利用してグラウンドやクラブハウスを整備し復活を目指していく。大会での勝利はもちろん、野球教室の開催やイベントへの参画で、地域貢献やスポーツ文化の発展への貢献を目指していくという。

 自動車業界は現在、電気自動車の普及が進むなど「100年に1度の大変革期」と言われる。ただでさえ、コスト面で厳しい目が向けられがちな企業チームの復活は異例とも言えるが、なぜ日産は野球部を復活させるのか。オンライン会見に出席した同社常務執行役員の濱口貞行氏が強調したのは、復活を望む地域や関係者からの声の大きさ、そして、野球を通しての従業員や地域社会との「一体感の醸成」にあるという。

「事業を進める上で、会社の財産は『人』。人の心や意識は、事業を進める上で本質的なもの。失敗を恐れずにチャレンジし、意見を言い合える。そうした企業風土も持っていないと、厳しい時代を勝ち残れない。野球の応援を通じて、そうした一体感や意識の向上につなげていきたい」

 活動再開決定に際し「“休部”という言葉は2度と出てこないように」と経営陣も強い決意を持って臨んでいる。元オリックスの川越英隆投手、元広島の梵英心内野手ら多くの選手をプロに送り込んできた。濱口氏は、「ハードルは高いが、1年でも早く強いチームにしていきたい」と名門復活へ力を込めていた。

(Full-Count編集部)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY