井端ジュニア、6年間のHRは「200くらい」 父も奮闘に称賛…全国舞台でも豪快弾

本塁打を放った横浜DeNAベイスターズジュニアの主将・井端巧【写真:小林靖】
本塁打を放った横浜DeNAベイスターズジュニアの主将・井端巧【写真:小林靖】

「4番・遊撃」で出場…大会では父のグラブを使用「内野用グラブがなかったので」

 日の丸を背負う父も称賛を惜しまない“孝行息子”だ。小学5、6年生による「NPB12球団ジュニアトーナメントKONAMI CUP 2023」大会2日目の27日。侍ジャパン・井端弘和監督の長男で、横浜DeNAベイスターズジュニアの主将を務める巧(たくみ)内野手は、神宮球場で行われた東北楽天ゴールデンイーグルスジュニア戦に「4番・遊撃」で出場した。“逆方向”の右中間への本塁打を含め、3打数2安打1打点1盗塁。チームも5-3で勝利し、28日の準決勝に駒を進めた。

 打った瞬間、それとわかる当たりだった。1点ビハインドの2回、先頭の巧くんは外角高めに浮いた初球を一閃。打球は中堅85メートルの距離に張られたネットを軽々と越えていった。「感触はよかったので、行きそうだなと思いました」と会心の一打を振り返った。

 スタンドで観戦していた父の井端監督は「芯に当たれば、いい打球が飛びますが、ホームランを狙いにいくとサードゴロのオンパレードになる。(日頃から)センター中心に打ったらどうかと言っています。その通りにできたので、よかったのではないでしょうか」と膝を打った。

 小学6年生で身長167センチ、体重70キロと大きい体が目立つ。通算本塁打は数えていないが、「小学1年からチームに入って野球をやっているので、6年間で練習試合などを含めれば、(ランニングホームランも含めて)200くらいはいっていると思います」。1点リードして迎えた4回には、先頭で左前打を放ち、次打者の打席中に二盗、相手捕手のパスボールで三塁まで進塁。左犠飛で貴重な追加点となるホームを踏み、そつのないところを見せた。

 遊撃守備も堅実で、強肩には目を見張るものがある。実は、この大会で使用しているグラブは、遊撃手としてゴールデン・グラブ賞7回を誇る父が現役時代終盤に使用していた物。というのも、普段所属チームでは捕手兼投手で、井端監督は「内野用のグラブがなかったので、これでやれと。僕が使っていたので、子どもが捕れるくらい柔らかくはなっていました」と明かす。「内野用グラブの使い方は、まだわかっていないかなと思います」と評するのも無理はないだろう。

スタンドから試合を見守った井端弘和氏【写真:小林靖】
スタンドから試合を見守った井端弘和氏【写真:小林靖】

2年連続出場…主将として念願の優勝へマジック2

 5年生で唯一人選出された昨年に続き、今年はチームを牽引する主将として出場。井端監督は「2年続けて選んでもらった意味を本人が理解して、一番声を出して、バット引きから何から率先してやっている。親としても、よくやっているなと思います」と目を細める。

 さらに父は、長男の野球に対する姿勢が年々真剣味を増しているのを実感している。「新型コロナウイルスで外に出られない時には、よくテレビゲームをやっていましたが、一昨年くらいからほとんどやらず、外で野球をやるようになりました。ゲームはもうほこりをかぶっています。そこは感心しています」とうなずく。

 日常生活では早寝早起きを励行。「午前5時に起きて1時間くらい勉強して、15分だけ(バットを)振って、そこから朝ごはんを食べて、歯を磨いて、6時40分に家を出ます」というのがルーティンだ。ここでも井端監督は「学校から帰ってきたら野球の練習をするので、その分、朝起きて勉強しているようですが、大したものだなと思って見てますよ」と愛息に感心しきりである。

 念願の優勝まで“マジック2”。巧くんは「やることは変わらない。いつも通りやって、勝てたら勝つ。負けてもしょうがないので、いつも通りやるだけです」と自然体で臨む。もちろん侍ジャパンを率いる立場の父も引き続き、息子を深く理解する肉親としてスタンドに足を運ぶ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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