川崎宗則は“色物”ではない 地区Vのブ軍支えた、目に見えない貢献

アンソポロスGMがシャンパンファイトで川崎と喜びを分かちあったワケ

 だが、ここで引き下がらなかったのが、ブルージェイズのアレックス・アンソポウロスGMだ。

 断られ続けても何度も何度も食い下がった。まるでかぐや姫が求婚する貴公子5人に無理難題を出したように、アスレチックス側はブルージェイズ傘下マイナーにいる有望株を代償に求めたが、その無理難題に応じてしまうほど、ドナルドソンが欲しかったという。当時のやりとりを思い出しながら、アスレチックスのアシスタントGMデービッド・フォースト氏は「アレックス(・アンソポウロスGM)に根負けしたよ」と笑った。そして、開幕してみれば、粘り腰で獲得したドナルドソンがMVP級の活躍だ。食い下がった甲斐があったというものだ。

 リーグ優勝が決まった後のシャンパンファイトで、上機嫌のアンソポウロスGMが川崎宗則の囲み取材に乱入してくる場面があった。2年前、川崎がトロントの地元ファンのみならず全米のメジャーファンの心をつかんだフレーズを真似て「マイ・ネーム・イズ・アレックス・アンソポウロス! アイ・アム・グリーク!(私はアレックス・アンソポウロスです。私はギリシャ人です!)」と絶叫するGMをつかまえて、川崎は「GM、コイツ! よかったね、いい仕事したよ。ほんといい選手取った!」と満面の笑みを浮かべながら、肩を組んでその労をねぎらった。

 この時、アンソポウロスGMは目立ちたいがために乱入してきたかといえば、そうではない。川崎の目に見えないチームへの貢献を誰よりも知っているからこそ、喜びを分かち合いたかったのだ。弾けたキャラの濃さに隠れてしまいがちだが、川崎の練習熱心さと勝利への執念は、チーム内の誰もが一目置くところだ。

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