【田澤純一コラム第3回】“悔しい登板”を自己分析、ロッカー隣人、イチローに学ぶこと
新たに加わったマイアミでの日課とは…
こういったチームの明るさに、僕も助けられています。僕が打たれても抑えても、変わりなく一番声を掛けてくれるのが、先発のボルケスです。ロッカーが隣ということもあり、野球の話や他愛もない話をしたり、いたずらを仕掛けてきたり。メジャーで5度も2桁勝利をした実績のある投手なのに、本当に気さくで明るいドミニカ人。ラテン系の選手に限らず、みんなに慕われています。
ボルケスのロッカーには、なぜか常にキューバコーヒーが入ったポットとカップが用意されています。しかも、なぜか練習前に必ずご馳走してくれます。エスプレッソくらい濃いコーヒーでメチャメチャ甘いけど美味しいんですよ。他の選手も一緒にコーヒーを飲みながら過ごすキューバコーヒータイムが、マイアミでの日課になりつつあります。
本拠地では5時間38分という長い試合(13日メッツ戦)もありましたが、遠征地のシアトルでは、チェン(・ウェイン)さんが7回までノーヒットノーランをしたり、イチローさんがホームランを打ったり、盛りだくさんでした。チェンさんの快投、すごかったですね。僕もノーヒットノーラン達成を期待しながらブルペンから見ていました。チェンさんなら、いつかは達成するんじゃないかと思います。
イチローさんも、さすがです。投手と野手でルーティンや練習は違いますが、イチローさんが毎日黙々と準備なさる姿を邪魔にならないように見ながら、いろいろなことを学ばせてもらっています。イチローさんがマリナーズ入りしたのは、僕が中学生の時。テレビの中でプレーする雲の上の存在だった選手と、まさか同じチームになるとは思ってもみませんでした。同じアメリカでプレーしていても、誰もがチームメイトになれるわけじゃない。そういう意味でも、僕は本当に恵まれた野球人生を送っていると思います。
しばらく遠征が続きますが、僕もチームに貢献できる投球を続け、いい形でホームに戻りたいと思います。次回はまた来月にリポートしますね。
【了】
マイアミ・マーリンズ 田澤純一●文 text by Junichi Tazawa