指名漏れの悔しさバネに成長 再び迎える運命の日 24歳外野手が秘める思い
指名漏れの悔しさをバネに社会人では1年目から活躍
その後、入社した日立製作所では、自身の長所でもあるバッティングを追及することに加え、捕球やスローイングなどの守備と、走塁に力を入れて取り組んだ。入社1年目の都市対抗野球大会では4番を任され、チームの準優勝に貢献。新人賞に当たる若獅子賞を受賞した。さらにこの年のベストナインも受賞。指名漏れの悔しさをバネに、ルーキーイヤーから活躍を見せた。
社会人で1年目から好成績を残せたのは、大学4年間の経験があったからだという。菅野は2年の春にベストナインに輝いたものの、2年の秋からスランプに陥った経験がある。引っ張って遠くに飛ばすという、自身の理想とする形での練習しかせず、攻め方を研究してきたピッチャーの配球に対応できなくなった。「これからは、自分が思い描くようなことは少なくなってくる」と善波監督には言われていたが、当時はその意味がわからなかった。
不振から脱出できたのは、きれいなヒットにこだわらず、詰まりながらも落とす、いわゆる「汚い打ち方」を練習してからだ。
「初めは『なんだ、この練習』と思いました。でも実際にそういうヒットも出て『こういうのもあるんだな』と気づかされました。もっと早く理解できていたら、大学生の時にしっかりした結果を出せていたと思います」
それまでは自分の意志を通していたが、人の意見を取り入れ、自分の中で整理することの大切さに気づき、4年春には2度目のベストナインを受賞。社会人となった今は、シーズンを通して大きく調子を崩すことなく、安定して結果を残せるようになった。都市対抗野球大会や日本選手権など、社会人の大きな大会はトーナメントのため、負けたら終わり。社会人野球の舞台で、1打席、1球の大切さも学んだ。