元阪神助っ人から「お前ならやれる」 異国の地で勝負を決めた右腕の挑戦
日本では救援も、コロンビアでは先発として好成績
愛媛では今季リリーフだったが、コロンビアでは先発を任され、ここまで9試合に登板し、3勝0敗、防御率2.45。先発の一角として、助っ人として、期待通りの役割を果たしている。だが、日本のように先発が長いイニングを任されることは少なく、リリーフ陣が手厚いチーム事情もあり、トロスではどの投手も5、6回まででの降板がほとんど。そして片山は失点のほとんどを本塁打で献上。スピードがなくても制球力があれば抑えられるという手応えとともに、海外の打者のパワーのすごさも痛感している。「ストライクゾーンが日本よりも広く感じるので、コントロールを大事にして投げないといけない」。
球場のコンディションは日本と比べてかなり劣る。守備陣の失策で足を引っ張られることも多く、5種類の球種を交えて打たせて取るタイプの片山には不利な環境だが、不満を言うことはない。「日本だと外野フライかなって思う詰まった当たりでも、こっちの選手だと打球がスタンドに入っちゃう。本当に1発は気をつけないといけないですね」と、1球の失投が命取りになることを実感し、マウンドに立っている。
所属する選手は地元のコロンビア人をはじめ、助っ人のドミニカ人、ベネズエラ人、パナマ人と全員がスペイン語圏出身。最初は挨拶もままならなかったが、必死にスペイン語を覚え、今では単語で簡単な会話ができるまでになった。「これは日本語で何ていうんだ?」と、日本語を覚えようとしてくれる選手も多く、片山や樽見の登板時にはベンチから「ガンバッテ」「イイヨ」「ラクニ」「ヒロクヒロク」など日本語での応援が飛び交う。
リーグは月曜、木曜が休みで、試合は週5日。ビジター時はバスで片道2?6時間掛けて移動し、試合を行う。遠征先から戻るのが翌朝になることもある。日帰りの遠征も多く、体への負担は大きい。老朽化の激しいホームスタジアムでは、試合中に球場の照明が一部落ち、試合が約30分間中断したことが3回。片山の登板時にも1回起こり、試合中に肩を作り直した。リーグからの給与未払いによる審判団のストライキで試合開始が1時間遅れたことも。貸切のはずのチームバスに練習用の帽子や枕を置いてホテルに戻ると、翌日無くなっていたこともあった。片山は「日本ではありえないことが本当に毎日起きますよ」と笑い飛ばす。