【野球と音楽・特別対談】元燕エース川崎憲次郎とモッズ番長・古市コータローが見つけた意外な共通項
古市コータロー「バンドで言ったらドラムがキャッチャーだね」
川崎「ドラムの話になったのでお聞きしたいんですが、楽器はやっぱり演奏する人によって音が変わるんですか?」
古市「全然違いますね。それぞれの特徴が出るんですよ」
MOBY「同じ楽器を使ったとしても全然音が変わりますから」
川崎「へえ、そうなんですか。じゃあ同じエレキギターを使っても?」
古市「もう全然違います。極端に言うと、何を弾いても自分の音になるんです。それはある程度のスキルの人と、それ以上のスキルを持つ人の違いですけど。野球だと他人のグローブを借りたとしても、変わらずに自分のプレーができるとか」
川崎「なるほど、でもそれくらい音に違いってあるんですね」
古市「そうですね。だって面白いと思うのは、自分がエレキギターを録音したCDを家でかけながら、弾き方を忘れちゃったからコピーしようと生音で演奏するでしょ。そしたら、生音でもCDと同じ音がしますから。タイム感とか力の配分とか、何かあるでしょうね」
MOBY「野球だと、例えばキャッチャーが違うと感覚が全然違うとかありますか?」
川崎「古田さんは、何と言っても投げやすいキャッチャーでした。バント処理だったり、盗塁阻止だったり、配球だったり、先読みだったり、いろんな処理ができて、ものすごい安定感がありました。ピッチャーが投げやすいキャッチャーっていうのは、構え、座った時の形だったり、あと配球ってよく言われますが、それだけじゃないんですよ。配球が成功するかどうかは結果論で、投げる前に当たりか外れか分からない。成功すればいいですけど、失敗した時、お互いがその場で『ごめん』と言えるような納得のいくボールが投げさせられるか、というところですよね。バンドマンでも同じようなことがありませんか?」
古市「バンドで言ったらドラムがキャッチャーだね」
MOBY「そうですね。ミスしたら一番目立つのがドラムですよね。全部止まっちゃうんで。他の人がミスしても楽屋に下がった時に『ミスしちゃった』で終わりますが、ドラムがミスしたら『お前どうしたの?』って責められますからね」
古市「(MOBYを見ながら)ありえないからね。ドラムのミスっていうのは」
一同(笑)
MOBY「ドラムはいいプレイも大事ですが、ミスをせずにプレイするのが一番大切で。レコーディングもノーミスで演奏できた時の方が良かったりする。それを超えられるかどうかが、上手い人とそうじゃない人の差だと思います」
川崎「じゃあ、MOBYさんは一番大事なポジションにいるということじゃないですか。……大変ですね」