なぜ女子野球なのか? 1人の指導者が抱く思いと希望「1人でも多くの人に…」

「東京アンビシャス」設立は「女子野球を普及・発展させること」「次世代を担う若手選手の育成」「地域・社会貢献」のため

「こうして振り返ると指導者としての第一歩が女子野球でよかったと思います」と笑顔で語る小花氏。現在は女子野球軟式チームの監督を務め、大学と社会人のチームを兼任するなど、独自路線で活動を続けている。

 小花氏は日体大卒業後、ソフトボールの実業団チームから監督就任のオファーを受ける。それまではチームは勝ち知らずだったが、小花氏が新監督となって5戦目で初勝利を挙げる。こうして弱小チームの改革に取り組んでいく中で、一時期はソフトの日本代表監督になることも考えたというが、再び女子野球の世界に戻ることになる。

「きっかけは京都で開催された女子野球の大会『ジャパンカップ』を観戦したことにあります。この大会には教え子が出ていて先輩後輩対決が見たかった。実際に見てみると純粋に『女子野球って面白い』と思いました」

 ちょうどこの頃、女子プロ野球リーグの誕生と同時にソフトボールが五輪競技から外されることが決まっていた時期だった。本人にとって経験的にソフトよりも女子野球の指導をするほうが得意と感じていたこともあり、この想いと現状が決断を後押しした。

 女子野球に戻った小花氏は女子軟式野球チーム「東京アンビシャス」を立ち上げた。男子で例えるなら東京アンビシャスは社会人軟式チームだ。チームを立ち上げた目的として「女子野球を普及・発展させること」「次世代を担う若手選手の育成」「地域・社会貢献」の3つがある。選手集めは日体大の教え子に声をかけ、3日間で20人の選手が集まったという。現在、チームは関東女子軟式野球連盟2部に所属し、1部昇格と全国大会優勝を目指して練習を続けている。

「東京アンビシャスは先ほど挙げた3つの目的の元で活動しています。いずれは日本代表を輩出できるようにしたいですね」

 また、小花氏は東京アンビシャスだけではなく、早稲田大学女子軟式野球サークル(通称:WASEBI)の監督も兼任している。そのきっかけは、早大の選手が練習不足を理由に東京アンビシャスの練習に参加したことだという。その後、小花氏は「WASEBI」からも監督オファーが届き、大学女子軟式野球の世界に復帰することになった。

「実はWASEBIからは2度、監督就任オファーがありました。1度は断ったのですが、再度依頼が来た時、監督が兼任できる可能性を考えてみました。公式戦が被らないということもあり、東京アンビシャスの監督を優先という条件で引き受けたのです」

「軟式野球リーグ全体が一体となり野球チームを普及していくことが必要」

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