練習相手はラグビー日本代表・流大の兄 元中日10勝右腕がトライアウト再挑戦

流大とも対面して会話、NPB復帰へ熱い思い吐露「せめて30歳までは野球がしたくて」

 そんな流さんはこの秋、家族が「時の人」となった。3歳下の弟は、ラグビーワールドカップ(W杯)で日本の8強入りに貢献したSHの流大。列島を熱狂させた桜戦士の奮闘ぶりを、兄である流さんも目に焼き付けた。「家族というより、1人のアスリートとして見ていました。何か野球に生かせることはないかなと」。166センチの小兵が屈強な選手たちに臆せず戦う姿勢に、土台となるフィジカル面の重要さを学んだ。

 W杯後に流が地元の久留米市に”凱旋”したタイミングで、ちょうど若松もトライアウトに向けた準備を兼ねて帰省。初対面して会話を交わす機会に恵まれた。「恐れ多くて」とあまり言葉を発することができずにいると、「NPBってやっぱり厳しい世界なの?」と質問された。流が地元民に囲まれてサイン攻めにあう光景を若松は目の当たりにしたといい、兄の流さんは「若松もドラゴンズではファンに囲まれたこともあったはず。あの光景を見て一層NPBに戻りたいと刺激を受けたのでは」と推し量る。

 この1年は無駄ではなかったと証明するべく、またあの独特な雰囲気に包まれたマウンドに向かう。若松は、はっきりと言う。「投げている球は、去年より確実に自信があります。後悔なくできるはずです」。たとえ声がかからなかったとしても、また栃木でプレーしながら可能性を探る。「せめて30歳までは野球がしたくて。だから、とことん、NPBを目指します」。まだ24歳。諦めるには早すぎる。

(小西亮 / Ryo Konishi)

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