楽天創設の経験を生かして琉球へ 田尾安志氏だからできる球団拡張の現実化
楽天の経験を生かす新球団でのディレクション、05年は歴史的大敗
実際にキャンプ中、中国の北京タイガースと合同トレーニングをした際、お互い刺激を受けることができて良かったという声が選手からも上がった。「決まりに縛られずどちらにもプラスのある動きをしていけるのがこのチームの魅力」と田尾さんは笑顔で語った。
チーム力の底上げ、人材の確保……。それができれば、NPB球団にも負けない強いチームが作れるはず。いつか、NPBが球団拡張をした時に、自信を持って加入ができる。そんな意欲が伝わってきた。田尾さんは、ただ単に「拡大をするだけでは意味がない」ということもはっきりと口にする、楽天の創設時の経験かあるからだ。
2014年に起きた近鉄、オリックスの合併による球団再編問題。当時、用いられたのは分配ドラフト方式で、オリックスが25人の選手を合併前のオリックス・旧近鉄選手の中から優先的に確保。それ以外の選手をオリックスと楽天が交互に指名していった。
自由契約だった山崎武司選手や関川浩一選手、当時、近鉄のエースだった岩隈久志投手(現・巨人)を金銭トレードで獲得するなど、整備をしたが、ロッテとの開幕2戦目は0-26という歴史的な大敗。創設1年目は38勝97敗1分け。5位の日本ハムに25ゲーム差をつけられた。新規参入の難しさを露呈した。
今でこそ、日本一を経験するなど、人気球団のひとつになったが、あの苦い経験を無駄にしないためにも、田尾さんは立ち上がる。
「『うちさえよければいい』という小さい考えでは、プロ野球界は発展しない。全球団の協力が必要なんです」