チームが重宝する“イニングイーター” パ過去5年の投球回TOP5で見るエースの称号
ずば抜けた安定感を示した、杜の都のエース
まず、直近5年間のパ・リーグにおける投球回ランキングのトップ5と、ランクインした投手たちの該当年の成績を見ていきたい。その結果は、表の通りだ。
この5年間でリーグトップの投球回を3度記録した則本昂投手の活躍ぶりが目につく。今回集計した期間からは外れているが、2014年には202.2イニングと大台を超える快挙も達成。近年のパ・リーグにおけるイニングを消化する能力は、まさにずば抜けている。2019年には手術の影響で68投球回に終わったが、2020年は健康体を保ち、再び長いイニングを投げ抜いてほしい。
2018年まではトップ5に入る投手たちは概ね160~180回台の投球回を消化していたが、2019年は規定投球回にちょうど到達した山本投手と高橋礼投手が、それぞれ5位タイにランクイン。
この年は則本昂、岸投手、上沢投手といったエース級の投手に故障者が多く出たことや、菊池雄星投手のMLB移籍、日本ハムをはじめとしてショートスターターを導入したことなど、さまざまな要素が重なり、規定投球回到達者が6人しかいないという特異なシーズンとなった。同様の傾向が今後も続くのかどうかによって、投球回のランキングにも影響が出てきそうだ。
また、防御率が4点台以上となったのは、2016年のディクソン投手と2019年の美馬投手の2名のみ。やはり、多くのイニングを消化できる投手たちは、チームにとっても安心して長い回を任せられるだけの投球内容を披露していたということだろう。
イニング数を上回る奪三振数を記録したのは、2015年から2018年に4年連続で記録した則本昂、2016年と2019年の千賀投手、2017年に揃って記録した菊池と岸の4名だ。多くの投球回を消化しながら、高い奪三振率を維持した投手たちのパフォーマンスは見事と言える。