チームが重宝する“イニングイーター” パ過去5年の投球回TOP5で見るエースの称号
「投球回」もまた、投手としての安定感を示した数字の一つ
興味深い点としては、ここで取り上げた、近年のパ・リーグにおいて多くのイニングを消化してきた8名の投手は、いずれも右投手となっていることが挙げられる。それだけでなく、先程紹介した直近5年間の投球回ランキングトップ5に入った選手たちに目を向けてみても、左投手でランクインしたのは菊池ただ1人という極端なバランスとなっていた。
「貴重な左腕」という言葉を目にする機会が少なくないように、右投手に比べて左投手の数が少なくなりやすい傾向が、こういった結果にも影響している可能性は高い。だが、現在のパ・リーグが、左の先発投手にとってはやや厳しい環境となっているのは確かなようだ。
先述した通り、2019年に規定投球回に到達した投手はわずか6名。投手分業が大きく進みつつある中で、リリーフ投手にかかる負担も年々大きくなりつつある。そのため、今後は1人で長いイニングを消化してくれる先発投手が持つ価値そのものが、より高まってくる可能性は大いにあるだろう。
防御率や勝利数とはまた異なるベクトルから、先発投手としての安定度を示している「投球回」という数字。見落とされがちではあるが、投手陣全体に対して貢献していることの証でもあるこの数字に、今後はぜひ注目してみてはいかがだろうか。
(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)