いい指導者か、悪い指導者か…アフターコロナで問われる球児の練習方法

アフターコロナで指導者は何に気を付けながら練習方法を考えるべきか
アフターコロナで指導者は何に気を付けながら練習方法を考えるべきか

日本屈指のTJ手術執刀医・古島弘三医師に編集部が聞く10の質問・第6問

【教えて!古島先生6】
 新型コロナウイルスの世界的大流行で小中学生のチームも一時、活動自粛となっていたりした。練習が再開したチームも多いが、今まで通りにとはいかない。大人数での練習、長時間の拘束など、慶友整形外科病院スポーツ医学センター長の古島弘三医師に指導者は何に気を付けながら練習方法を考えるべきかを聞いた。連載「教えて!古島先生」の第6回として紹介する。

 緊急事態宣言が解消された後、政府の専門家会議では「新しい生活様式」を提言。スポーツをする場合でも距離を保ったり少人数で行ったり、これまでと同じ練習方法というわけにはいかなくなりそうだ。求められる“変革”に頭を悩ます指導者は多そうだが、古島医師は今こそ「いい指導者なのか、昔ながらの指導者なのか、分かれる時」だと話す。

「アフターコロナでは、長時間練習がどうなのか、部員が多く大人数が集まっての練習はどうなのか、という時代になると思います。そこで指導者はどうやっていこうか考えるいいきっかけになる。昔ながらの練習スタイルで続けていくのは厳しい状況になるところで、指導者は思いきって考え方を変えていく。それがいい指導者になるための最初のステップだと思います」

 そんなことを言われても……と思う指導者もいるかもしれない。それに対し、古島医師は「そういう人は全然考えていないということ」と手厳しい。古島医師自身、館林慶友ポニーリーグを立ち上げ、指導者として活動する一面も持っているだけに、変化が起こせないのは「できない」のではなく「やらない」からだと知っている。

「少人数でグループに分かれて練習する方が効率的にできる。時間も、丸一日練習やりっぱなしというのが野球の世界だけど、例えば午前中だけと時間を決めたら、その中で何ができるか。練習と練習の切り替えでダラダラしないでパッと動くとか、準備に時間が掛かるものは練習の流れを変えるとか、効率よくメニューを考えないと今後はやっていけないと思います」

 こういった檄を飛ばすのも、日本人は工夫ができる国民だと期待しているからだ。

「大人数でシートノックをやっても、1人にいくボールの数は決まっている。少ないですよね。1時間立っていても2、3球しか来ない時もあるかもしれない。そういう意味でも、これをきっかけに効率的にやる練習を考案していくことが大事。そして、日本人はできると思います。マスクがないとなった時、いろいろな企業がマスクを作り始めた。追い込まれれば、日本人はアイディアがどんどん生まれる。野球の指導者もいい方向に変わっていけば、その結果、練習時間の短い、効率的で負荷のかからない練習ができ、障害が減ると思います」

 史上初となる春夏の甲子園が中止となり、新型コロナの影響で高校球児たちは練習を自粛することもあった。固定観念に囚われず、今何が必要なのか、何を求められているのか、考え工夫する。今こそ指導者の力量が試される時なのかもしれない。

【動画】アフターコロナで指導者の資質が分かる? 保護者も必見!少年野球が向き合うべき新たな指導法は?

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