独立リーグも頭を悩ませる“ウィズコロナ” 収入ダウン、人員削減…どう戦う?
栃木の江部社長「『料金はそのままでいいよ』と言ってくださる企業の方々も多い」
チケット収入は球団運営に欠かせない大事な財源。栃木では興行収入が全体のおよそ35%を占める。そもそも今季は試合数が10試合減。仮に無観客が長引けば、経営へのダメージも大きくなる。さらに、運営費の半分以上となる65%を占めるのが、スポンサー収入。昨季リーグ王者の栃木は、大小約140社からの支援を受け、前年の20%増を見込んでいたが、コロナ禍でスポンサーの経営状況も悪化。各企業を回り、返金対応をとるケースもあるという。その反面、江部社長は暖かさにも救われたと話す。「『痛みは同じなんだから、料金はそのままでいいよ』と言ってくださる企業の方々も多くて」。単なる一野球チームではなく、団結してコロナを乗り越えていくための象徴としての責務を改めて感じる。
一方、チームも難しい戦いが続く。試合数が減っただけでなく、従来の東西2地区から東中西の3地区に細分化。さらに各地区の4チームを2つに分けた6グループ制に。遠征の移動距離を少なくするため、近隣球団との対戦が極端に多くなる。栃木は、同じ「東地区グループA」の茨城アストロプラネッツと全60試合のうち40試合を戦う。寺内崇幸監督も「マンネリ化はするだろうし、集中力が切れることもあるかもしれない」と危惧。選手の身体的なコンディションだけでなく、モチベーション面にも気を配っていく必要性を挙げ「この状況を乗り越えられたら、チームとしても個人としても成長できるはず」と見据える。
試合は7回成立で、2時間45分で打ち切る。雨天中止などの場合は、状況に応じてダブルヘッダーも組まれる。独立リーグでは中継ぎ投手もあらかじめ登板が決められている場合があるだけに、出場機会も当然流動的になる。それでも、NPB入りに向けたアピールの場が用意されたことだけでもありがたいとみる選手も少なくない。現状では高校や大学、社会人も本格的な試合が再開していない中で「例年よりスカウトの目に留まりやすくなるのかもしれない」と期待を抱く声もある。シーズンは10月まで。選手もスタッフも、試行錯誤を続けていく。
(小西亮 / Ryo Konishi)