無観客試合に“時短効果”あり? 過去のデータで紐解く試合時間の変化と傾向

試合時間の長い2019年は本塁打数に加えてホールド数も多い

 次に、同じく2009年から2019年における、パ・リーグ全体の打撃成績を以下に紹介していきたい。

過去11年間の打撃成績【画像:パーソル  パ・リーグTV】
過去11年間の打撃成績【画像:パーソル パ・リーグTV】

 投球成績が優れていた年は、打者にとっては受難の時期であったことも意味する。2011年と2012年の2シーズンは本塁打が極端に少なく、安打数や出塁率も他の年と比べて明確に低い。投手にとっては積極的に打者と勝負しても打ち取れる可能性が高い環境であったことから、四球の数も大きく減少していた点も示唆的だ。

 一方、出塁する数自体が少なくなるということもあってか、この2年間は併殺打の数も400個台と、他の年よりも少なくなっていた。また、2011年には該当期間内で最多の636盗塁が記録されており、各チームが少ないチャンスをいかに得点に結びつけるかに苦心していたことが読み取れる。

 また、2018年と2019年の2年間は「フライボール革命」の影響や、西武の強力打線が2年続けて猛威を振るったこともあり、本塁打のリーグ総数が850本台とかなり多くなっていた。この時期のリーグ全体の投手成績の悪化には、こういった要素も影響している可能性が高い。

 一方、同じくリーグ全体の防御率が良くなかった2009年と2010年は、他の年に比べても打率と出塁率が高く、打数、打点、安打もそれぞれ多くなっているのに対し、併殺打の数も600個台と多くなっていた。打数の多さは試合時間の長さにもつながる要素だが、併殺打が多ければそれだけ試合の進行は早くなる。打高投低のわりに他の年と比べても平均の試合時間に大きな変化がなかった理由の一端は併殺打の多さにもありそうだ。

観客動員が再開される7月10日以降にどんな変化が現れるか?

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