「練習で規制しなければ意味がない」 肘の権威と元メジャー右腕が考える「球数制限」

古島医師が制定に尽力した画期的取り組み「スーパーポニーアクション」とは

 ほぼ大人と同じ体つきになった高校生以上に、試合はもちろん、練習中の過度の投げ過ぎに気を付けなければならないのが、成長期にある小中学生だ。「骨がまだ大人になっていないので、小中学生は試合も練習もすべて規制するくらいでいいと思います」と話す古島医師は、理事を務めるポニーリーグ(日本ポニーベースボール協会)で選手の障害予防と成長のサポートを目的とする取り組み「スーパーポニーアクション」の制定に尽力した。

「スーパーポニーアクション」では、中学生年代のスポーツを対象とした団体および指導者は、第1に子どもの健康を考えること、第2に将来のための育成時期であること、と念頭に置くべきだと明記。反発係数の低い国際標準バットを導入したり、怒声罵声を伴う指導や応援にはイエローカードを出したり、様々な先進的な取り組みが定められいるが、投手の投球数についてはさらに細かい規定が設けられている。

 トーナメントでは1試合あたり中学1年生は60球+変化球禁止、2年生は75球、3年生は85球を限度とし、同日の連投および投手と捕手の兼任は禁止。また、1日50球以上投げた場合は1日休養をはさむことを決まりとし、同一試合の再登板を1度だけ認めるほか、3連投を禁止している。

 練習試合や練習に関しては「投球目安」を設定。練習過多も故障の要因となるため、中学1年生は1試合60球かつ週間投球数は180球(変化球禁止)、2年生は1試合70球かつ週間投球数は210球(体の負担となる変化球は禁止)、3年生は1試合80球かつ週間投球数は240球と定めた。投球数の定義としては、打者を相手としてマウンドからの投球で8割強度以上のスローイングで行われたものとし、試合前の投球練習もカウントされる。連投や兼任などの定義は、トーナメントと同じものが適用される。この他、12月と1月は極力投球を控えるよう呼びかけている。

 古島医師は球数を少なく定めることのメリットについて「たくさん投手が必要になるので、ほぼ全員が試合で投手として投げる経験を積めます。中学生の時に少しでも投手経験があれば、高校に行って投手が足りない時に投げることもできますし、子どもたちの可能性が広がります」と話す。これに大きく賛同するのが、元阪神エースでメジャーでも活躍した藪恵壹氏だ。藪氏は「中学生まではきっちりルールで決めてもらった方がいい」と続けた。

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藪氏が小中学生に勧めるインナーマッスルの強化、古島医師も賛同

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