なぜ川崎宗則は“100人中100人”に愛される? 本人が語る“自己愛と助け合い”

「幸せも痛みも誰かに分けてやるんだよね。ミスした人たちも、僕に分けてほしい」

 単なる「いい人」では語り尽くせない魅力。川崎に自分自身を分析してもらうと「それはわかんないね、僕も」と頭をかいた。その直後、「だけど」と付け加えて“愛され”のヒントを示した。

「僕が僕を好きなんですよね。自己中。自分が大好き人間。それを周りのみんなが分かってくれているだけかな。あとは、自分が好きなのであまり人に干渉しない。干渉する人って嫌われるでしょ? いい意味でも、悪い意味でも周囲に流されやすいところはあるんだけど、いつもあっけらかんとしてますよ、僕は」

 グラウンド上では、揺るぎない信念でプレーを続けてきた。日本、米国、台湾と様々な環境に身を置いてきたからこそ分かった思いをこう語る。

「出会った人たちを幸せにしないと、楽しくないよね。野球なんか特にそう。自分ばっかりいいプレーをして喜ぶのもいいだろう。ただ、やるからにはチームとしてみんなで喜びたいし、励まし合いたい。幸せも痛みも、誰かに分けてやるんだよね。ミスした人たちも、僕に分けてほしい。じゃないと、野球なんてやってられないよ」

 だから、グラウンドで声を出す。ピンチを迎えた投手に歩み寄る。絶対にネガティブなことは言わない。「ミスして当然のスポーツ。持ちつ持たれつの助け合い。だから、俺が元気がない時は任せたぞって(笑)」。その言動ひとつひとつが周囲に響き、力になっていく。

 栃木での公式戦も残りわずか。新型コロナウイルス感染拡大による情勢を見極めながら、来季は再び台湾でプレーすることも視野に入れる。「フラフラしますからね。また次、自分がどこにいくのか。安定感ゼロな男なので(笑)」。国内か、海外か。場所はどこであれ、川崎は誰かの痛みを受け取り、活力を届けていく。

(小西亮 / Ryo Konishi)

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