甲子園沸かせた富山の“逸材左腕”の紆余曲折 怪我と挫折乗り越えて迎える運命の日
Honda鈴鹿では恵まれた環境…3人の元プロのコーチからの指導
その後、4年春にリーグ戦にも復帰。だが、勝ち星は1年春に挙げた1勝に終わった。「ダメ元で」プロ志望届も出したが、ドラフトでは指名されず。復活をかけてHonda鈴鹿に進んだ。そして社会人では、1発勝負の重みや責任感を感じながらプレーするようになったという。
「社会人野球は独特な1発勝負があり、1球に対する重みが違う。人も少ないのでケガもできない。お金を頂いて野球をするようになったのが学生と一番違うところで、責任が問われる。過程よりも結果で見られるというのを強く感じています」
Honda鈴鹿には3人の元プロのコーチがいる。捕手として大洋、横浜、西武でプレーした今久留主成幸コーチ、投手としてダイエー、ソフトバンクでプレーした岡本克道コーチ、内野手として近鉄でプレーした武藤孝司コーチだ。森田は恵まれた環境で指導者たちの教えに指導に耳を傾け、プロ入りに近づくために練習に励んできた。
「今久留主さんからは投げる時の腕の位置、岡本さんはメンタル面について、武藤さんは野手目線で打者の心理や投げる時のテンポについて、教えてもらっています」
直球の最速は151キロ。森田はより速い球を投げるために、これまでは少しでも上の位置から投げようと、オーバースローを続けてきた。だが、昨冬参加した台湾でのアジア・ウインターリーグで腕の位置を少し下げ、しっくりくるフォームにたどり着いた。
「速い球を投げるために上から投げていたのを、気持ち斜めの位置にしたのが一番大きい。スピードを出したいがために、自然とそういう動きになっていた。でも、ウインターリーグの時にたまたま腕が自然と下がっていて、今久留主さんからも『それがいい、それがずっと言いたかったことなんだよ』と言われ、今年から本格的に意識するようになりました」